肩・背中の手技

脊椎マニュピレーションとは?治療方法と期待できる効果

脊椎マニピュレーションとは

脊椎マニピュレーション」は、背部痛に対して有効な治療方法であるとされており、特に急性の腰痛には痛みを和らげ、機能の改善を目的として行われるものです。
脊椎マニュピレーションは、理学療法士や鍼灸マッサージ師、整体、カイロプラクティック、一部の医師などによって行われる、科学的根拠のある施術です。

痛みやコリ、痺れを改善させるだけではなく、自律神経症状精神症状においても効果が期待されるものです。
特に神経根症状のない関節症や分離症、すべり症など、急性の腰痛などに有効とされている効果的な治療法で、とても多くの利点があることが注目されています。

ただし急性期の椎間板ヘルニアなどにおいては、徒手療法を禁忌としています。

脊椎の構造と仕組み

脊椎は24個の椎骨が連結して構成されており、頭から骨盤に至るまで一直線に繋がっています。
椎骨の中にある脊柱管には重要な神経が通っており、椎骨の間には椎間板があり靭帯によって支えられています。

椎骨は自在に動くことから歪みを生じさせてしまうことも多く、歪みによって神経を圧迫して痛みを生じさせたり、周辺筋肉の血流を低下させてしまってコリや痺れを生じさせることもあります。
脊椎は身体の横からみるとS字状になっていますが、歪みを生じさせた場合にはC字状になっていることもみられます。

そのままの状態で身体を支えようとしますから、筋肉の血流量の低下や神経の圧迫によって、腰痛や背部痛の原因となってしまうのです。

脊椎マニピュレーションの治療方法

脊椎マニュピレーションは、徒手による理学療法やマッサージ、カイロプラクティックなどによって行われる療法になります。
用具を活用して、適切な圧を加えながら治療を行うこともあります。

徒手療法においては、脊椎のわずかな歪みをただし、関節を適切に可動させながら筋肉の緊張をほぐし、血流を改善させながら痛みを和らげ、関節運動をスムーズにします。

カイロプラクティックでは、脊椎の歪みによって動きが低下し、神経の圧迫や筋肉の血流低下によって神経伝達を妨害している状態を「サブラクテーション」と呼んでいます。
単に骨の歪み自体を指しているのではなく、構造的な症状から障害を生じさせている状態がサブラクテーションであり、それを取り除くために手技が行われるのです。
また同時にサブラクテーションが起きにくい身体をつくることも、手技療法が行われる目的であると言われています。

歪みを整えるというだけではなく、歪みを生じさせないアドバイスや歪みを生じさせにくい身体をつくることが施術者として必要なスキルであると言われています。

脊椎マニピュレーションの効果

脊椎マニュピレーションを行うことによって、腰痛や背部痛を和らげると同時に、倦怠感や不眠、抑うつ症状、便秘・下痢など、自律神経症状を和らげる効果も期待できます。

脊椎の歪みは、単なる痛みやコリだけではなく、さまざまな症状を引き起こす原因になることが指摘されています。
それは脊椎には脊髄と馬尾神経といった、重要な神経が通っているからだと考えられています。

脊椎の歪みを生じさせるような姿勢不良がある場合、慢性的に神経を圧迫させたり、筋肉に負担をかけ、緊張させて血流を低下させてしまいます。
痛みやコリ、痺れとなって症状が現れることが多いですが、内臓の働きや自律神経の働きにまで影響を及ぼすことになってしまうのです。

そのため抑うつ症状やうつ病の原因が、実は脊椎の歪みが根本原因であるということも珍しいことではなく、脊椎マニュピレーションによって少しずつ症状が改善することも期待できるのです。

ただ実際には、症状の原因が脊椎の歪みであるということを断定されることはなく、対処療法的に薬剤が処方されるのみとなっている現状があります。
脊椎マニュピレーションが慢性的な疾患に対する治療法のひとつとして、期待されていることが理解できるのではないでしょうか。

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