茨木 英光

『機能回復訓練について』

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こんにちは。

関節マスタードットコムの
茨木 英光(いばらき ひでみつ)です。

どうぞよろしくお願いします。

現在、1件だけ出張治療に行っています。

その方は脳梗塞で半身麻痺のため、
左手足の動きに制限があります。

左手指の屈曲はできるのですが、
伸展がまったくできない状態です。

つまり、握ることはできるのですが、
握った手を元に戻すことがなかなかできないのです。

握って、力を緩めて、
そうするとゆっくりと手が開いていく感じです。

なんとか指の伸展ができるように、
今は親指を立てる練習に取り組んでいます。

練習方法は、左親指を立てようとすると同時に、
健側の右手の親指も一緒に立てるという方法です。

左右両側を使って機能回復訓練を行っているのです。

健側の右の親指をグイッと立てていると、
動かない左の親指が、人差し指にくっついた状態から、
たまに浮くことがあります。

その瞬間に私は紙をその隙間に差し入れるのです。

親指と人差指の間に紙が挟まった状態を見てもらうことで、
自分の指が動いたことを自覚していただくのです。

左手の機能回復のために右手も用いるのは、
健側である左大脳からも同側への神経支配が僅かながら存在するため、
その神経回路を何とかして使いたいからなのです。

随意運動の伝導路である皮質脊髄路は
一次運動野からの対側支配ですが、運動前野や補足運動野は
両側性に運動野を介さずに脊髄への信号を送ることができるので、
一次運動野の損傷は大人であっても機能回復訓練により回復が期待できます。

また、鏡像運動という手足が
左右同時に動いてしまう神経回路にも期待しています。

鏡像運動は、通常10歳くらいで消失すると言われています。

左右同時にグー、チョキ、パー、と動かすことは簡単ですが、
右手がグーの時に左手はチョキ、というように、違う動きを行うことは、
慣れるまでに時間がかかります。

ピアノなどの楽器の練習などは左右の手が違う動きに慣れるという、
この鏡像運動からの脱却の訓練とも言えます。

左右同じ動きの方が私達は簡単に行えるということは、
随意運動は単に皮質脊髄路の錐体交叉だけの経路ではなく、
同側の肢体への遠心路があるのか、
または、対側への一次運動野への投射路が
あるのではないかと考えられます。

ここに4つの仮説があります。

■1 「非交差性の皮質遠心性線維」

通常の随意運動は外側皮質脊髄路によって対側を支配していますが、
これが交差だけでなく同側の手足にも神経が届いているという説。

外側皮質脊髄路は8割ほどが延髄錐体で交差していますが、
残りは前皮質脊髄路として同側の脊髄を下降しており、
それぞれの脊髄レベルに達した段階で交差しています。

この繊維の一部がそのまま交差せずに
同側の手足に行っているということでしょうか。

■2 「皮質-脊髄ニューロンの両側性投射」

これは上記の説と似ていますが、交差した外側皮質脊髄路が
分節レベルに下降した段階で両側にニューロンを出すというものです。

■3 「両側の一次運動野活動」

右手を使うと左脳が活性します。
そのインパルスが脳梁を介して右脳の一次運動野も興奮させるという説です。
この説が当たっていると、健側の運動が脳梗塞側の脳を
直接刺激してくれるのでありがたいのですが。

■4 「上位運動中枢から両側一次運動野への共通入力」

これは、3番目の説の脳梁を介して対側の一次運動野を
刺激しているということだけではなく、
もっと複雑な運動を担う高次運動中枢も活性化しているという説。

大きく2つに分けると、
片側の運動野の興奮が1と2では
脊髄レベルで両側に神経が届いていて、
3と4では片側の運動野の興奮が対側の脳にも
刺激を送っているということになります。

神経回路は、電車の路線図に例えられることがあります。

でも、始発駅と終着駅とを
結ぶ電車の路線だけを思い出してはいけません。

実際には駅どうしを結ぶバスも走っていて、
さらにはタクシーだって利用できます。

神経回路も同じようなもので、脊髄の断面だけを見ても、
その中は蜘蛛の巣のように神経が縦横に張り巡らされているのであり、
脳の中はもっと複雑です。

だから、健側を用いることによって脳梗塞を起こした患側の脳を
刺激していても不思議ではありません。

といっても訓練によって目覚ましい回復が
起こせているわけではないので、祈るような気持ちで
施術を行っているのですが、
何とかして左の親指が立てられるように
なっていただきたいと願っています。

親指さえ動かすことができれば、
ずいぶんと日常生活が楽になるはずです。

ちなみに、その方は不自由な脚を引きずって一人で清水寺まで出かけ、
腹筋も毎日500回されています。

私が脳梗塞になってしまったらそのように積極的な気持ちで
生きていけるだろうかと思ってしまいます。

その方とお会いするたびに
学ばせていただくことがたくさんあります。

関節マスタードットコム
茨木 英光

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