茨木 英光

「これって筋(すじ)ですか。」

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先生、こんにちは。

関節マスタードットコムの
茨木 英光(いばらき ひでみつ)です。

本日もどうぞよろしくお願いします。

「そこが痛いです。これって筋(すじ)ですか。」

「先日首のすじを痛めましてね…。」

施術中に患者様がこのようにおっしゃることは
毎日のようにあることと思います。

私たち手技療法家は毎日この筋(すじ)に対して施術を行っているのですが、
患者様が筋(すじ)と表現されるものには、具体的にどのような組織が含まれているのか、
改めて考えていきたいと思います。

患者様が表現される筋(すじ)には、このような組織が考えられます。

(1)筋肉
(2)腱
(3)靭帯
(4)膜
(5)その他の軟部組織

では、詳しく見ていきましょう。

(1)筋肉

いわゆる筋(すじ)とは、筋肉の筋と書いて「すじ」ですから、
患者様がすじと表現されるものの多くは骨格筋のことを言っています。

筋肉を電子顕微鏡で見ると、
筋原線維はアクチン細糸とマイオシン細糸から構成されています。

筋肉に力を入れると、アクチン細糸が
マイオシン細糸の間に滑りこむことで収縮が起こります。

それと同時に細糸の間隔が広くなるので筋肉は肥大して力こぶが作られます。

いわゆる「こり」とは、滑り込んだアクチンが
始めの位置まで戻り切っていない状態が続き、
そこにリンなどの脂分が付着している状態のことをいいます。

ですから、筋肉のこりは、ほぐすことよりも
線維を伸ばすことを重視すると良くなります。

(2)腱

腱は筋線維と骨とを接合する組織で、膠原線維が多く、
基質が少ない規則性緻密結合組織から成っています。

膠原線維は引っ張りに対してとても強いことが特徴ですが、
伸縮性はほとんどなくタコ糸のような線維です。

全速力で走れるのも、アキレス腱が強い張力に耐える力があるおかげなのです。
ほとんど伸縮しない腱ですが、腱の裏側には筋線維がわずかに存在し、
この筋線維がわずかに伸縮するおかげで
無理な引っ張りの力に対しても切れにくい構造となっています。

腱は骨との接合部が硬くなりやすいので、
接合部を伸ばすようなマニピュレーションが有効です。

(3)靭帯

先ほどの腱は膠原線維が主でしたが、
靭帯は弾性線維が主な組織となっています。

弾性線維はゴムのような弾力によって関節に柔軟性を作り出し、
筋肉の負担を軽くしています。

また、靭帯は筋肉のように自動運動はできませんが、
周囲の筋肉を継続的に動かすことによって強化することが可能です。

ここまでがいわゆる筋(すじ)と言われているものです。

残りは厳密に言うと筋(すじ)という表現は的確ではないかもしれませんが、
患者様がすじっぽく感じることもある結合組織であるため、
参考までに知っておいてください。

(4)膜

膜と呼ばれるものの中で、筋っぽく感じられるものには、
髄膜、筋膜、腸間膜などがあります。

鼓膜や粘膜などは筋っぽく自覚することがないので除外いたします。

・髄膜

髄膜は脳と脊髄とを覆う被膜で、外側から硬膜、
くも膜、軟膜の三層から構成されています。

硬膜は緻密な膠原線維からなる厚い膜で、頭蓋骨の骨膜そのものです。

くも膜は末梢神経の神経周膜の延長で、構造的にも神経周膜と同じものです。

軟膜は脳と脊髄に密着する薄い疎性結合組織の層で、
くも膜小柱という立体的な網構造をつくっています。

この3層からなる髄膜は、外側の硬膜は強く、
内側の軟膜は柔らかいという、強さと柔軟性の両方を兼ね備えています。

髄膜には神経が網目のように張り巡らされているため、
腰の曲げ伸ばしなどの動作を行うと背骨の中で
「すじが伸びている」というような感覚があります。

・筋膜

筋膜は個々の筋肉を包む一種の線維性膜で、
保護膜であると同時に、血液の吸収作用を間接的に助ける働きがあります。

筋膜は他の筋の筋膜とも連結しているため、
痛みの範囲が個々の筋の範囲を超えている場合は、
筋膜が原因と推察して施術をしてみると良い結果が得られる場合があります。

・腸間膜

腸間膜は主に小腸を連結させている膜性のひだで、
可動性が大きいのが特徴です。

腸間膜が腹腔の後壁に付着する所を腸間膜根といい、
第2腰椎に付着しています。

腸間膜に内臓脂肪が付着するとその伸縮性が失われ、
腸の可動性が減少します。

便秘の方やウエストを細くしたい方に対しては、
腸間膜の線維を伸ばすマニピュレーションを行います。

【その他の軟部組織】

・直腸子宮窩(ダグラス窩)

直腸と子宮の間を前後に走る一対のひだで、
子宮の安定に寄与しています。

また、子宮の前方には膀胱子宮窩(前ダグラス窩)というのもあります。

これらの膜性組織も、腸間膜と同様に子宮の可動性と大きく関わるので
生理痛のある場合などはマニピュレーションを行い、
この線維の可動性を回復させます。

・大血管

大腿動脈や上腕動脈など、名前のついている大きな動脈は中脈が厚く、
弾性線維でできています。

血管を筋っぽい痛みと訴える方はほぼないでしょうが、
血管も感覚神経が豊富な組織なので、痛みをかなり感じます。

血管も筋っぽく感じることが稀にあることを豆知識として
頭に入れておいてもいいと思います。

以上、線維性の組織で思いつくものを挙げてみましたが、
まだまだたくさんあります。

患者様が筋(すじ)と感じるものは筋肉だけではないということと、
術者は患者様が痛みを感じている部分が何であるか、
的確に判別してわかりやすく説明できるようになっておく必要があります。

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茨木 英光

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