「肩こりが酷いので筋膜リリースしてほしい」という要望をよく聞くようになりました。
筋膜とは筋肉を包んでいる組織のことで、第二の骨格とも言われているものです。
コリや痛みの原因は、筋膜が委縮していたり癒着していることで生じることが少なくありません。
そのような症状に対しては、筋膜リリースによって筋膜の状態を元通りにすることが適切であると考えられています。
ここでは筋膜リリースを理解するための情報についてお伝えし、その手技に対する効果などについてもご紹介していきます。
筋膜の基礎知識
筋膜とは筋肉や内臓を包んでいる膜の総称であり、全身の組織を包み込んでいます。
また筋繊維や器官、神経などの組織を結合させていることから、第二の骨格と呼ばれることもあります。
筋膜は伸縮性のある薄い膜が連続して層になっていることが特徴的で、膜同士が滑りあって動くことによって、筋肉や内臓を保護し、血管や神経なども支えています。
とても柔らかい組織で身体全体を包んでおり、身体の姿勢を保つ役割を持っています。
身体を動かす際には、その動きにあわせて形を変えたり、戻したりしています。
その身体の動きの中で、委縮したり癒着してしまうことがあります。
組織が柔らかいために絡まったり、くっついてしまうのです。
すると筋膜同士の滑りが悪くなってしまい、筋膜を通っている血管や神経などの循環障害を引き起こし、筋肉の柔軟性が損なわれてしまいます。
この状態になってしまうと、コリや痛みを生じることがあります。
筋膜で生じている萎縮や癒着を正常に戻してやることで筋肉の柔軟性を取り戻すことができますが、その行為のことを「筋膜リリース」と呼ばれています。
筋膜リリースとは
筋膜はコラーゲンやエラスチンといったとても柔らかい繊維でできており、繊維のほとんどは水分でできています。
身体の動きに従って、うまく形を変えて対応しているのですが、同じ姿勢を長時間に渡って保持していることや無理な姿勢や動作を行うことによって、その部位に大きな負担がかかってしまいます。
このような動作を続けると筋膜がよじれて萎縮や癒着を起こしてしまい、筋膜と筋肉がうまく動いていない状態になってしまいます。
また筋膜の水分が足りていない場合やストレスによっても、筋膜同士の動きが悪くなってしまうこともあります。
筋膜リリースとは、萎縮や癒着を起こした筋膜を元通りに解消し、筋膜の動きを改善させ、筋肉の動きを高めるために行うためのものです。
ストレッチをイメージするかもしれませんが、一定方向に伸ばすものではなく、筋膜の方向に沿ってリリースさせることが特徴的です。
腰や背中に痛みやコリを感じている場合においては、筋膜リリースによって症状を改善させることができます。
筋膜リリースの効果
筋膜リリースの効果として、この3つのポイントが挙げられます。
筋膜リリースは、身体の凝り固まった部分や伸びにくい場所に対して、時間をかけて解きほぐしていくものです。
凝り固まった部分はコラーゲンとエラスチンといった繊維が萎縮や癒着を起こしています。
それらの筋膜をゆっくりと解きほぐすことで、コリや痛みを解消させることが期待できます。
筋膜と筋肉の伸張性を取り戻すことができ、筋肉が本来兼ね備えている柔軟性を発揮できるようになるのです。
また筋膜のねじれがほぐれることによって血流量を高めることができますから、身体全体の不調を整えることにも繋がります。
疲れやすく取れにくいと感じていた人であれば、疲れにくく改善しやすくなります。
身体を動かすことがスムーズになりますから運動パフォーマンスを高めることも期待できるでしょう。
筋膜リリースの手技について
筋膜リリースは、その手技によって筋膜の血流を取り戻すことを目的としています。
そのため身体が温まっている入浴後などが最適で、リリース後には水分をしっかりと摂って筋膜に潤いを与えることも大事になります。
ストレッチやマッサージ、運動においても筋膜に対してアプローチすることは可能です。
実際に手技を行う方法にはさまざまありますが、皮膚の上から刺激する方法と鍼治療を行う方法が多く取り入れられている方法です。
皮膚の上から刺激する方法では、コリが生じている部位に対し適度に圧をかけ、広い範囲を伸ばしていきます。
一般的に筋膜リリースとして推奨されている方法です。
またフォームローラーと呼ばれる筒状の器具によって圧をかけ、身体の凝り固まった部分を伸ばしていくこともあります。
コリや痛みがひどい部位に対して鍼を施すこともあります。
触診などによって見つけ出した部位に血流を改善させることができます。
また自身で体操やストレッチのように取り組めるやり方もありますから、コリがひどい方であれば学んでおくといいでしょう。
コリや痛み、身体の不調を改善させる
『筋膜リリース』
肩こりの場合、肩は何層もの筋肉によって構成されていますので、ピンポイントでほぐすよりも、筋肉を包んでいる筋膜をリリースさせることによって改善が期待できます。
事務仕事で一日中パソコンをするような場合、首に過剰に負担がかかってしまい、持続的に筋収縮を起こし、血行不足から肩や首にコリが生じます。
このような症状においてマッサージやストレッチなどの対処療法が行われることが一般的ですが、一時的に良くなってもすぐ再発してしまうのです。
なかなか良くならないコリや痛みに悩んでいる方に対して筋膜リリースは、的確なアプローチ方法だと言えるでしょう。