その他の手技

【橋本典之】治すだけが治療ではない

先生、こんにちは。
ソーラ・ヒーリングアソシエーションの橋本 典之です。

先日、重度難聴の方がお見えになりました。
難聴を治したいという事ではなく、アトピーや頭痛、鼻炎などを改善したいというお話でした。

彼は生まれた時から重度の難聴で、人とかかわることも避け、友達も少なく、今ではゲームをやっていることが何よりの幸せだという事でした。
連れてこられたお母さまは、息子さんの症状を少しでも楽にしてあげたいという一心で、全国各地の治療院を訪れているそうです。
有名な治療院と聞けば、次の日にでもすぐに出向いては治療を受けていると仰っていました。

お母さまはとても穏やかな感じで優しさに溢れる方でしたが、息子さんは長年の難聴の苦しみやアトピーの症状でとても暗く、殻に閉じこもったような雰囲気の青年でした。
私のところへ来たのも、触らないでエネルギーで治療をするという事でお越しになられたようです。

私は彼の症状はすぐに改善されるようなものではないというのが解りましたから、継続的な治療が必要だという事を告げ、身体の症状は結果として症状として出ていることを説明しました。

「治るには時間がかかる」「治るかどうかわからない」という言葉を治療家の口からいうのに多少の抵抗があるはずです。
誰でも「大丈夫ですよ」「治りますよ」と言いたいものですが、正直に言う事も相手の為には必要なことだと思います。

このクライアントもいろいろなところへ行き、簡単に治らないという事は理解していましたが、藁をもすがる思いでおられる方にとっては「大丈夫!治りますよ!」という言葉を期待して待っているのかな?とも思います。
簡単に治らないのに、通う事でただ時間だけが過ぎ、お金もかかるというものは、先の見えぬ不安と同時にストレスになってくるのでしょう。
簡単には良くならないですが、せっかく治療に来てくれたので、自分ができることをやるまでです。

彼は重度の難聴ですので、黒板を使って私の感じていることを書き綴り、彼やお母さまにも言いにくいことも迷わず黒板に書かせていただきました。
その中には、「世の中は自分の思い通りになることはないんだ」という事で、彼の耳の問題にも触れさせていただきました。
耳が聞こえないことは確かに辛いことだけど・・・・私のネパールでの経験を話させていただきました。

ネパールで出会った青年も耳は聞こえない、それに声も出ないという状態なのだが、写真に写った彼の表情は笑顔にあふれているのです。
治療に来た彼の顔は不満や文句に溢れた顔をしていたので、自分の人生は自分で選ぶことができるんだよと私は言いました。

確かに辛い生い立ちで、誰ともコミニケーションが取れない不自由な生活を送ってきたとは思います。
耳をいますぐに聞こえるようにしてあげる事もできませんが、思考を変えることで、目の前の世界はどんな風にも変えることができることを解ってほしくて伝えました。

治療家のできることには限界が必ずあります。
治してあげたいけど、それも治療家の傲慢な思いであることも理解できます。
何か違うアプローチでクライアントを元気に勇気づけて上げることしかできないのです。
治せなくても、元気に生きていく力を与えることができたらそれだけでも十分な治療に値するものだと私は思っています。

ソーラ・ヒーリングアソシエーション
橋本 典之


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