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【茨木英光】ナノの世界を理解しよう

先生、こんにちは。
茨木英光です。

前回はミクロの世界を見てみました。
サランラップの厚みが約10マイクロメートルで、これがおよその細胞の大きさであることを学びました。

今日はそのさらに小さな世界ナノの世界の話です。

1ナノメートルnmとは、1マイクロメートルの1000分の1つまり1mmの1000分の1の、さらに1000分の1、100万分の1mmの世界です。

こんな小さな世界は治療家としての仕事に関係がなさそうですが生理学を読む時にナノという単位も結構出てきますので感覚的に覚えてしまいましょう。

まず、もう一度サランラップで覚えます。
サランラップの厚みは約10マイクロメートルですから1ナノメートルは、サランラップの1万分の1ということになります。
ここから理解を深めていきましょう。

1 シナプス間隙
解剖学を勉強する時に出てくるナノの世界は、シナプス間隙です。
シナプスの前と後ろの間のすき間です。
シナプスは脊髄や眼や耳などの特殊感覚器の中にあります。
このシナプス間隙は約20ナノメートルです。
なのでサランラップの500分の1ということになります。
シナプスの図はよく見ると思いますがそれがどれくらいの距離感覚なのか、なかなか想像する機会はなかったかもしれませんがサランラップの500分の1であることを覚えてしまいましょう。

2 細胞膜
細胞の大きさは約10~20マイクロメートル。
ざっくりとサランラップの厚みでした。
その細胞を構成する細胞膜の厚みが約10ナノメートル
サランラップの1000分の1ということになります。
神経の伝達・活動電位について学ぶ時、静止時の神経細胞の中は、細胞外に比べて-75mmVの電位差があります。
たった75ミリボルトの電位差かと思ってしまいがちですが、10ナノメートルほどの薄い膜で電位差が75ミリボルトということは単3乾電池の長さ5cmに置き換えてみると66ボルトということになります。
単3乾電池は5cmで1.5ボルトですから、細胞膜の方が44倍すごいということになるのです。
もし66ボルトの乾電池があるとすれば、単3乾電池1本でノートパソコンのモバイル電源として使用できる程になるです。
細胞膜がどれだけすごい仕事をしているのかイメージできましたでしょうか。

3 ウイルス
コロナウイルスの大きさが約0.1マイクロメートル、つまり100ナノメートルです。すぐに換算できましたでしょうか。
ウイルスと細菌の大きな違いとして、その大きさがあります。
ウイルスは細菌よりずっと小さいのです。
野口英世が黄熱病のウイルスを発見できなかったのは当時はまだ電子顕微鏡がなかったためでした。
光学顕微鏡では見れないほど、ウイルスとは小さなものなのです。

4 半導体
私達の生活に欠かせなくなった半導体ですが最新の半導体の大きさは2ナノメートルらしいです。
一体どんなものなのか想像もつきませんがナノの世界が私達の生活に大きく関わっているのです。

いかがでしたでしょうか。

今日はミクロの世界の更に小さな世界ナノについてでした。

細胞膜がものすごい電位差を支えていること半導体はウイルスよりも小さいということをざっくりと理解するだけでも生理学の本はグッと読みやすくなってきます。

ありがとうございました。
茨木英光


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