最新記事

【茨木英光】嗅神経の調整 鼻詰まりの治し方

先生、こんにちは。
茨木英光です。

脳神経を勉強する際に、まず覚えることは脳神経の番号とその名前そして働きくらいではないでしょうか。

ここまではまだ基礎的なことで、手技療法家として大事なことは脳神経がどの孔を通って頭蓋底を出ているのか臨床で使えるようになるためには通過する箇所が重要となってきます。

脳神経の通過している孔の調整をしていくことで、われわれ手技療法家も脳神経を扱うことが可能となっていきます。

今日は第1脳神経である嗅神経の調整についてです。
嗅神経の図を用意して読み進めてください。

嗅覚系は嗅上皮・嗅球・嗅索から構成され、その続きは脳の深部にある嗅覚野に至る構造となっています。
嗅上皮は鼻腔の上壁に存在していて、繊毛のように細い多数の線維でできています。

嗅上皮は分泌液によって常に湿っており、吸い込んだ匂いの分子が溶解してわさびなどの揮発性の食べ物を口に入れた時に鼻がツンとする原因となっています。

鼻腔の天井である篩骨の篩板(しばん)は、細かい穴が無数に開いている構造となっていて嗅上皮が篩板を貫通して頭蓋内に入っています。

少し前にこんな事件がアメリカでありました。
子供が噴水で水遊びをしていたら殺人アメーバが脳内に感染して死亡したとのこと。
水遊びでなぜ脳内にアメーバが侵入したのでしょうか。
この子供はきっと水を勢いよく鼻から吸い込んでしまったのでしょう。
プールで水が入ったときに鼻がツンとすることはみなさま経験したことがあると思います。
あれは鼻腔の上部にある嗅上皮に水がかかった時に出る痛みです。

アメーバが嗅上皮に触れて、篩骨の篩板から脳内に入ったものと考えれます。
篩板を通り抜けるとそこはもう脳内ですから、短い経路ですぐに脳内にたどり着くことができてしまいます。

水遊びとは溺れることだけでなく鼻から侵入するという意外な所に危険が潜んでいます。

第1次感覚ニューロンである嗅上皮は篩骨の篩板を貫通して頭蓋内に入った後、嗅球にある第2次感覚ニューロンへとシナプスを作ります。

第2次感覚ニューロンである嗅球は、脳への嗅覚の伝達に関与する神経として細胞体が群生しているため、球状に膨らんでいます。

嗅神経は、その殆どが脳の中の伝達経路となっています。
そのため嗅神経は「脳そのもの」と解釈することができます。

これは第2脳神経である視神経も似た構造であるため、嗅神経と視神経は、「脳神経というよりも、ほとんど脳そのもの」と言ったほうが分かりやすいかもしれません。

篩骨は前頭骨の穴に収まる形で存在していますから、前頭骨に対して篩骨の可動性を付けて行くように調整していきます。
そうすると嗅神経の流れが良くなり、鼻詰まりや匂いが分かりにくいなどの鼻の症状がその場で良くなります。

嗅神経の調整法

  1. 患者は仰臥位になり、術者は示指を曲げて母指共に患者の鼻をつまみます
  2. 患者の鼻軟骨を前方に引っ張って篩骨に前方のベクトルをかけ、次に下方へのベクトルを加えていきます。
  3. 「口を開けましょう」と指示をします。
    開口の動作に合わせて鼻軟骨を更に下方へと引き下げていきます。
    この時に篩骨が前下方へと動いていくことを感じ取ります。
  4. この動作を2・3回繰り返していきます。
    鼻詰まりや鼻の奥がかるくなっていることを確認して終了します。

とても簡単なテクニックなのでぜひ試してみてください。
篩骨がゆっくりと引き出されていくことを感じ取れたら鼻の通りが良くなっていきます。

ありがとうございました。
茨木英光


茨木先生のDVD・動画教材

▼DVD教材▼














▼動画教材▼