みなさまこんにちは。
今日は体の血流を左右する毛細血管について考えてみたいと思います。
1 毛細血管
動脈と静脈の間に介在して、
平滑筋を持たない微細な血管を毛細血管と言います。
毛細血管の太さは5~10マイクロメートル(μm)ほどです。
赤血球の大きさが約8μmですから
赤血球ひとつがやっと通れる程度の極めて細い管となっています。
毛細血管の断面は、
ひとつの内皮細胞が輪になって血管を作っています。
この内皮細胞の外側に周皮細胞と呼ばれる細胞が存在して、血管を補強しています。
周皮細胞は血管が傷ついた時に漏れを防いだり、
大きな隙間ができた時に修復を行っています。
内皮細胞には多数の孔が開いていて、
血管外に栄養を送りやすい構造となっています。
これは膵臓などの内分泌腺の血管や、腎臓の糸球体などの、
出入りが活発な器官に多く見られます。
傷や低温などで毛細血管が途切れてしまうと、
その箇所での血流は「ゼロ」になります。
「血行が悪くなる」程度のものではありません。
赤血球がひとつも流れない状態となってしまうのです。
そのため凍傷になると、指先など末端が壊死してしまうのです。
しかしある程度の損傷であれば、
治療を受けることによって血流は回復して内皮細胞が修復を始めます。
この時に毛細血管は枝分かれをして、新生血管が生まれ始めます。
回復してくれることはありがたいことなのですが、
凍傷によって神経も傷ついていますので
その神経に再び血液が供給され始めると
髄鞘を失った神経にナトリウムが入り始め
常に脱分極を起こすため、猛烈なしびれが発生します。
このように毛細血管は老化や損傷によって減ることもあれば、
ケアすることで増えることもできるのです。
つまり毛細血管は体の中で常に一定数存在しているのではなく、
「自分で育てるもの」
という考えていたほうが若さを保てるということになります。
2 細動脈
毛細血管に至る前の、もう少し太い血管を細動脈と言います。
細動脈の直径は10~200μmほどで、
内皮細胞の周りに平滑筋細胞が取り巻いています。
細動脈の平滑筋細胞が収縮を起こすと、血管の中はほぼ閉鎖されてしまい、
血流はほとんど停止してしまいます。
これは冬山などで体温が極端に低下した際に、
手足が温かい状態であるとそこから体温が放熱してしまうため
血流を止めてでも体温の低下を防ぐためなのです。
凍傷とは命と天秤にかけなければならないほどの
極限の状態と言えます。
3 毛細血管を増やす方法
まず思いつくことは温めることだと思います。
お風呂に入る、温かい飲み物を飲む
これらはもちろん大切なことなので
それらに加えて、しておきたいことを考えてみたいと思います。
・血管をストレッチをする
細動脈の平滑筋細胞を伸ばさなければなりません。
なので手が冷える場合には、肘を伸ばした状態で
反対の手で中指を反らすようにしてストレッチを行います。
各指10秒くらい、血管が伸びていくことをイメージしながら行うと
手の指が温かくなります。
・血管をしごく
親指の付け根にある手首の脈、
撓骨動脈は容易に触れることができます。
それから肘の内側に上腕動脈を触れることができます。
この2点を水性マジックで結んで描いてみてください。
そこに撓骨動脈が通っています。
そこを親指でしごくのです。
筋肉のマニピュレーションとは違った感覚があります。
ストレッチと併せて行ってください。
・肺活量を上げる
風船をふくらませる、肺活量を上げる器具など
少しずつ心臓に負荷をかけていきましょう。
心拍出量を上げると、末端の血流量が増加して
毛細血管が育っていきます。
ただしこれは、いきなり高負荷は危険なので
始めはストローを吹くなど、自分にできる負荷で行うことが必要です。
でもこれは大事なトレーニングだと私は思っています。
・階段を登る
これも負荷をかけるトレーニングです。
駅やスーパーなど、エスカレーターをすぐに使おうとしないで
足が痛くない方は階段を登る習慣をつけましょう。
少しくらい息があがる方が体に良いのです。
いかがでしたでしょうか。
毛細血管は何歳からでも育ちます。
すぐに育ち始めます。
美容目的だと思ってぜひ楽しみながらやってみてください。
ありがとうございました。
茨木英光