『理学操体』とは「理学」と「操体」を融合させたもの。
操体法に、理論的な思考をプラスさせた手技のことを言います。
操体法はそもそも『病を治す』といった発想はなく、個人個人が持っている感覚を頼りにして、元の状態に戻すという考え方を持っています。
感覚的な部分が大きいために分かりにくいのは確か。
しかし感覚というものはとても重要な部分でもあり、それを理論づけすることができれば治療法として確立させることもできるのではないでしょうか。
その感覚的な要素を理論づけするために生まれたのが『理学操体』なのです。
ここでは理学操体に関する情報をお伝えし、その効果や手技などについてもご紹介していきます。
操体法とは~理学操体のベースとなる治療法
理学操体を知るには、そのベースとなっている「操体法」を知らなければなりません。
操体法の考え方は「病を治す」というものではなく「体を元通りにする」というものです。
人間の体は誰でも健康に生活ができるように出来ているため、病気が治るということは「元の体に戻る」ことだと言えます。
なぜ痛みや違和感が生じるかというと、日常生活において何かしら間違った体の使い方をしているためです。
これらを見直し、歪みを調整することによって痛みや違和感がなくなる、つまり元通りになるということなのです。
体の歪みは生活習慣から生じるものであり、もっと深めれば生き方自体に原因があると考えられます。
「治療」という要素だけではなく、哲学的要素も備わっているのが操体法の特徴だと言えます。
実際に痛みや違和感に対してどのようにアプローチしているのかというと、西洋医学のそれとはまったく真逆の考えを持っています。
リハビリテーションにおいては痛くても拡げよう、動かそうとするのが特徴ですが、操体法の場合には痛みがない、違和感がない方向へ動かしていきます。
つまり楽な方向へ動かすことが、自然治癒力を高める最大の方法であると考えられているのです。
理学操体とは~操体法をベースにしたアプローチ方法
理学操体は、冒頭からご説明している操体法をベースにした治療法であり、感覚的な要素だけではなく理論が整っていることが特徴だと言えます。
理学操体での手技においては、操体法の特徴である「楽な方向」「違和感のない方向」といった、患者さん自身の身体の反応に任せていく施術方法となっています。
楽な方向に動かす中で「気持ちいい」「心地よい」と感じることができますから、身体の内側にある治そうとする力を呼び起こすことができるのです。
一般的に施術者は、症状を改善させるために、施術者が主導して治療にあたります。
しかし理学操体はあくまで患者さん自身に備わっている治そうとする力を呼び起こし、その力に寄り添うことが目的であると言えるでしょう。
つまりベースとなる操体法の通り、身体の必要な部分を調整し、歪みを正すことによって、元の身体に戻し、さまざまな痛みや違和感を解消させるものなのです。
また一般的な治療においては、患者さんが持っている痛みや違和感を解消することを目的とします。
中には「どれだけ通っても治らない」とおっしゃる患者さんもおられるでしょう。
そのようなことが続けば、自己嫌悪に陥ったり、新たな病気を発症させてしまう原因となってしまうかもしれません。
しかし心地よい方向に動かし、身体を調整することによって、いつの間にか改善してしまえばどうでしょう。
理学操体では、元通りに戻すことが優先されますから、自然治癒に寄り添うことが最適な技術であると考えているのです。
理学操体の手技の特徴~自動運動
理学操体では、皮膚に触れることが手技の特徴で、皮膚に対するアプローチによって操体法を進めていくことになります。
皮膚は人体において最大の感覚器官であり、「気持ちいい」「快適だ」と感じてもらうための手技としてとても重要な器官であると言えます。
理学療法を語るうえで重要であるのが「自動運動」ですが、これは皮膚に運動を加えることによって連動している違う部分が動き出すというものです。
人間に備わっている自然治癒力を引き出したものであり、快適な感覚によって同時に筋肉が緩んでくることを意味しています。
この自動運動をしやすくするために、ポール運動と呼ばれるストレッチポールを用いた方法が取り入れられることもあります。
このように自動運動を行うことによって、患者さん自身の最適感覚を導き出すことができます。
理学操体では、自動運動によって自然治癒に寄り添うことができ、元通りの身体に戻していくことが可能なのです。