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神経モビライゼーションとは?神経障害に対するアプローチ方法

神経モビライゼーションとは

神経モビライゼーションとは、頚椎・腰椎ヘルニアなどのように神経伝達がうまくできなくなった障害を対象にして、神経の滑走性・伸張性を改善させるアプローチ方法です。
徒手による理学療法であり、施術者が患者の神経障害に対して適切な評価を行い、障害の部位に対して直接手技を施していきます。

神経障害が生じている患者の多くは、痺れのような症状が現れており、中には歩行し続けたり動作をし続けることで痺れや痛みが出現することもあります。
中には尺骨神経麻痺のように物を持つことができなかったり、坐骨神経痛にように下肢が痺れていて歩行ができないというケースもあります。

神経障害が生じている部位によって症状は異なりますが、手の麻痺は現れていないか、両下肢筋力に差は見られないかなどの評価を行ったのちに施術を行うことになります。
上下肢に痺れを有しており、力が入らなかったり入れることができないという方には有効な治療法であると言えます。

神経モビライゼーションが適用になる神経障害

神経モビライゼーションが適用になる神経障害にはさまざまなものがあります。
脚から腰にかけて現れる「座骨神経痛」、手の感覚が障害される「橈骨神経麻痺」、手の痺れや筋力低下が起こる「尺骨神経障害」などがあります。

坐骨神経痛においては、腰痛や臀部から下肢への痺れなどを引き起こします。腰椎椎間板ヘルニアなどが原因となって発症し、神経が圧迫することによって下肢にいたみや痺れが生じ、強い痛みで歩けなくなることもあります。

特に腰から下肢に対する痺れが強く現れるのが特徴で、痛みが生じることによって仕事や家事などが不自由になってしまいます。
また筋力が低下して歩行ができなくなったり、痺れによって感覚に麻痺が見られるようなこともあります。

橈骨神経麻痺は、神経障害によって上腕に痺れを生じさせてしまい、下垂手や下垂指といった麻痺症状がみられるものです。
挫傷や骨折などがきっかけとなって神経圧迫を起こしてしまい、痺れや麻痺の原因となってしまいます。

起床後に手が動かないといった症状が起きる場合もあります。橈骨神経は上腕骨を回り込むように走っているために、睡眠時の姿勢によっては神経を圧迫させてしまうこともあるのです。

尺骨神経障害は肘の内側を走る神経であり、手のしびれや筋力低下の原因となってしまうものです。
肘に対して無理な動きや過度な負担などをかけてしまった場合に生じることがある症状です。

神経モビライゼーションの理学療法

神経障害に対して神経モビライゼーションによる理学療法を行う場合には、諸症状を確認するなかで原因を予測していきます。
整形外科など医療現場であればレントゲンやMRIなど、画像診断が実施されることが少なくありません。

主観的な評価においては、出現している症状を確認して障害されている部位を特定します。
どの神経根が圧迫されているのか、痺れや痛みが生じる部位、感覚異常はないか、排尿障害はないかなど、神経症状を確認していきます。
このような症状を把握したうえで、痺れや痛みなどの症状はいつから始まったのか、どんな時に、どのような部位に起きたのか確認していきます。

実際に、痺れや痛みが生じている部位を他働的や自働的に動かしてみて、どのような症状が現れるのか確認することもあります。

症状が重度の場合には手術療法が必要となる場合もありますが、症状が軽度である場合には神経モビライゼーションの手技が行われることになります。
神経圧迫による痛みや痺れは、自然に治癒することも多いのですが、麻痺したまま仕事や生活することはとても困ることになります。

そのような症状に対する神経モビライゼーションのアプローチは、とても有効な治療方法として期待することができるでしょう。

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