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鍼灸で活用する『ツボ』とは~鍼灸師が行う施術の効果について

鍼灸で活用する『ツボ』とは

鍼灸治療はいまやWHO(世界保健機構)においても効果があると認められています。
日本や中国だけではなく、世界100か国以上で採用されている治療法になります。

東洋医学においては、鍼灸治療やさまざまな施術において『ツボ』を活用されることになります。
このツボとは経穴と呼んでおり、経絡上にあるポイントのことで、ツボに鍼を刺したりお灸で熱刺激することによって自然治癒力や免疫力を高めることができます。

ツボ(経穴)・経絡について

ツボ(経穴)が存在する経絡とは、気血が流れている通路のことを呼んでいます。
東洋医学の概念においては、血液と同じように全身には気が流れていると考えています。気とは分かりやすく言えば体を巡っているエネルギーのこと。
気の巡りが悪くなることによって、コリや痛みが生じたり、病気を引き起こしたりすると考えているのです。

この経絡は全身に12本の流れがあると考えられており、その経絡上にツボ(経穴)が361か所あると考えられています。
つまりツボとツボを繋いだものを経絡と言い換えることもできるのです。

ツボの大きさは点のようにイメージされることが多いですが、500円玉程度にもなると知られており、部位によっても異なります。
鍼灸治療の場合においては、このツボに対して鍼灸で刺激して治療を施しますが、施術に適した深さもその部位によって異なります。

鍼灸治療ではツボ(経穴)の刺激でなぜ効果があるの?

鍼灸治療においては経絡に存在するツボ(経穴)を刺激し、中枢神経に作用することによって、痛みやコリをほぐすことができると考えられています。
古代の中国では痛みが生じると、その部位に手を当て、摩ったり揉んだり押したりすることによって、痛みが和らぐことを知っていました。
鍼灸治療もこの応用であることが知られています。

痛みやコリが激しい部位では、筋肉が固くなり、血流が悪くなっています。
鍼灸治療によって、神経の活動が活発となり、痛みを和らげコリをほぐす効果が得られるのです。
また筋肉の緊張を解きほぐし、血流の流れを良くし、代謝を促進させる効果もあると知られています。
さらに内臓にも直接影響を与えることができ、機能を改善させることも期待できるのです。

鍼灸における鍼治療の効果

鍼灸における鍼治療とは、ツボ(経穴)に直接、髪の毛ほどの鍼で刺激し、痛みやコリ、病気を治療するための方法のことを言います。
ツボ(経穴)に対して鍼で刺激を与えることによって、筋肉の緊張を解きほぐし、血流を改善させることができ、自然治癒力を高めることによって痛みやコリ、病気を改善させることができるのです。
鍼を刺すというと血が出たり、痛みが生じるようなイメージがあるかもしれませんが、鍼治療においては出血することはなく、また痛みが生じることもほとんどありません。

鍼治療に活用する鍼について

鍼治療において身体に刺激を行う鍼は、太さ0.14㎜から0.34㎜程度のかなり細い鍼になります。注射針の太さが0.8㎜程度になることからしても、鍼の細さを感じることができるでしょう。
そのようにかなり細い鍼を活用することから、痛みを感じることはほとんどありません。
また鍼を刺したときにも、皮膚の抵抗は少ないのです。

注射針の場合、先端がとがっており血管にさせるようになっています。
そのため針を抜いた後には出血がみられます。
注射後に止血のための絆創膏が貼られることがあるでしょう。

鍼治療で活用する鍼は、先端が丸みを帯びており、皮膚に刺した後も、皮膚や筋繊維、血管をかき分けるようにして入っていくようにできています。
そのため痛みを感じることや出血することはないのです。

鍼灸における鍼治療の効果

鍼治療は、痛みやコリを生じている部分の緊張を緩和し、血流の流れを促進させることによって、本来備わっている自然治癒力を引き出すことが可能です。
痛みやコリが生じると、筋肉が固くなってしまい、血流が悪くなることが知られています。
さらに交感神経の働きも悪くなることによって、さらに血流が悪化しますので、悪循環に陥るのです。

鍼治療は筋肉の緊張緩和や血流改善に大きな効果があるだけではなく、自律神経に対しても大きな効果があると考えられています。
そのため自律神経が支配している胃や腸など内臓の働きも良くし、健康維持や改善に期待されているのです。

鍼灸におけるお灸治療の効果

鍼灸におけるお灸治療とは、皮膚の上でもぐさ(艾)を置いて燃やし、その温熱刺激によって体調を整え、病気を治療するための方法のことを言います。
お灸治療の歴史もとても古く、中国においては紀元前から行われていた記録が残っており、日本においては仏教伝来とともに伝わってきたと考えられています。

お灸による皮膚への熱刺激によって、神経の巡りや血流を改善さることができます。
昔は意図的に火傷を生じさせる方法が主流でしたが、現在では火傷の跡を残さない心地のよい無痕灸と呼ばれる方法が一般的となりました。
免疫機能や代謝を高めることができ、痛みやコリを改善させるだけではなく、病気になりにくい身体を作ること効果もあると考えられています。

お灸治療に活用するもぐさ(艾)について

お灸治療に活用するもぐさ(艾)は、乾燥させたヨモギの葉を活用しています。

ヨモギとは日本全国で自生しているキク科の多年草であり、草餅にして食べることで親しまれていることはみなさんもご存じでしょう。
さまざまな薬効成分が含まれていることが知られており、古くから民間薬として親しまれてきました。
お灸治療での熱刺激による効果のほかにも、燃やした際の香りによってリラックス効果も期待できると考えられています。

鍼灸におけるお灸治療の効果

お灸治療の効果は、皮膚上でもぐさ(艾)を燃やすことによる温熱刺激によって、免疫機能や代謝を高め、自然治癒力を引き出すことによって痛みやコリ、病気を改善させることが期待されています。
自律神経の働きも活発にさせることができることから、冷え性や月経痛などの女性特有の疾患にも有効だと考えられており、予防医学の観点においても注目されているものです。

近年ではドラッグストアなどにおいても「せんねん灸」など、自宅で手軽に取り組むことができるお灸が販売されており、取り組む方も多くなっています。

鍼灸治療のプロフェッショナル『鍼灸師』とは

『鍼灸師』とは、ツボ(経穴)に直接、鍼やお灸によって刺激を与えることによって、痛みやコリを緩和させ、病気の治療や予防を行う施術者です。
「鍼師」「灸師」は別々の資格になりますが、両方の施術を行うことが多いために、鍼灸師と総称されることが一般的となっています。
私たちに本来備わっている自然治癒力や免疫力を高めることができ、また副作用の少ない施術法であることから、高齢者や妊婦さん、小さなお子さんまでも幅広いニーズがある施術者です。

鍼灸師の仕事は、「脈診」「望診」によって鍼治療・お灸治療が行われます。
脈診とは、西洋医学での脈拍を診るものではなく、気の流れやバランスを診るために行われる診察方法であると言えます。
望診とは「視診」と呼ばれることもあり、表情や皮膚、舌、血液など、さまざまな状態を観察することによって、病気の状況や栄養状態を診察する方法です。

習得することは難しいとされていますが、鍼灸治療の効果を高めるために重要であると考えられています。

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