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鼻骨骨折時の整復 | 鼻骨の仕組みと整復の必要性

鼻骨のしくみ

鼻骨は鼻腔を覆うように作られている骨で、鼻腔内部を左右に仕切っている鼻中隔と共に鼻全体を形成しています。

鼻の頭側部分を触れてみると硬い骨に触れますが、これが鼻骨です。
ピラミッドのような形をしており、鼻筋を構成するのにも役立っています。

鼻柱を押してみると硬く感じられるものが鼻中隔であり、鼻に隔たりを作るとともに、鼻の形を決めるための重要な役割も担っています。

鼻骨全体はとても薄く作られているのが特徴であり、軽い打撲などによっても簡単に骨折してしまいます。
また打撲によって、鼻中隔が曲がってしまう鼻中隔湾曲症になってしまうこともあります。

鼻自体はすべて骨で構成されている訳ではなく、小鼻は大鼻翼軟骨という軟骨によって構成されています。
大鼻翼軟骨は鼻柱のてっぺんである鼻尖部で曲がって成形されており、鼻柱の根元である鼻骨付近にまで軟骨で占められているのが分かります。

このように鼻骨は、顔の中央に突出していることから、骨折しやすい部位であるといわれます。
骨折してしまうことで鼻筋が曲がってしまったり、腫れてしまうことがあります。

また放置しておくと、そのまま癒合してくるために早めに整復することが必要です。

鼻骨の骨折時の整復の必要性について

鼻骨は顔から突出していますので、転倒などによってぶつけやすく、また薄く作られていることから骨折しやすい部位であることが知られています。

鼻骨を骨折すると、鼻の粘膜が破れてしまうことから、出血を伴うことがほとんどです。
かなり激しい出血が特徴です。

また左右のどちらかに曲がっていることが多く、その鼻筋(鼻梁)の視診や触診によって骨折を疑うことができます。

また打撲の際には鼻骨の骨折ではなく、鼻中隔が左右にずれている場合もあります。

鼻骨を骨折すると曲がっていますから、見た目が悪くなってしまうだけではなく、鼻の通りが悪くなってしまいます。

しかし1週間から2週間も放置してしまうと癒合してきますので、骨折を疑った場合には早い段階で元通りの場所に整復させることが必要となります。
鼻骨の骨折において重症度が高い場合には、頭蓋骨と繋いでいる部分が損傷していることがあります。
そのような場合には脳髄液が漏れ出し、漏れ出している部分から細菌が入り込んで感染症や疾患を引き起こす可能性もありますから注意が必要です。

また鼻中隔の損傷においても、放置しておくことによって血液が溜まってしまい、軟骨に壊死を起こしてしまうことがあります。

鼻骨の骨折時の整復について

鼻骨は、鼻血と視診による鼻の変形によって骨折を疑うことになります。
特に出血は、よくみられる鼻血よりもはるかに出血量が多いことが特徴です。

また変形や腫れによって骨折が確認できます。
曲がっている鼻骨を元通りにするために鼻骨整復鉗子を用いて手技による整復術が行われることが一般的です。

腫れがひどい場合には、腫れが引いてから整復することになります。

鼻骨の整復術は、かなり痛みを伴うものになります。
そのため病院での整復の場合であれば、局所麻酔下で治療が行われることになります。
整復が難しい場合においては、全身麻酔下で行われることもあります。

整復術によって鼻の粘膜を破ってしまい、出血を伴うこともあります。
そのため整復中や整復後の一定期間においては、鼻にガーゼを入れて出血を防ぐようにします。

痛みが強く生じることから、そのまま放置してしまう方も多いのですが、1週間から2週間程度で鼻骨が曲がったまま癒合してしまいます。
早めに整復術によって、元通りにしておかねばなりません。

中には骨折しているにもかかわらず、鼻に変形が見られないことや痛みがそれほど伴わないことがあります。
そのような場合には、機能的な問題がないのであれば癒合するのを待つこともあります。

ただし頭部を打撲しているような場合においては、頭部に外傷がみられる場合や鼻骨以外に骨折が疑われることがあるので注意が必要です。

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