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トリガーポイント治療には筋膜リリースが有効?関連痛のメカニズムからみた適切な治療法

筋膜とトリガーポイントの関係性

筋膜とは全身を張り巡らされ筋肉を包んでいる薄い膜のことをいい、解きほぐすことによって筋肉の柔軟性を引き出し、関節の動きを良くする施術のことを「筋膜リリース」と呼んでいます。

筋肉をスムーズに動かすためには、筋膜の滑りが滑らかでなければなりません。

しかし筋膜自体はとても柔らかい組織であり、委縮したり癒着しやすい特徴を持っているために、筋肉の動きや血流が悪くなってしまい痛みやコリを生じさせてしまうのです。

例えば日常生活において悪い姿勢のままでいると、その姿勢のまま筋膜がよじれてしまうことになってしまいます。
激しい運動によって無理な動作を続けることによって、筋膜同士が癒着してしまうこともあります。

筋膜に柔軟性をなくして癒着してしまうと、痛みやコリを誘発する原因となってしまいます。
痛みやコリだけではなくさまざまな症状を引き起こすポイントとして知られています。

その痛みやコリを総称して「筋筋膜性疼痛症候群(MPS)」と呼び、痛みを引き起こしている筋肉の内部にみられる硬いしこりのことをトリガーポイントと呼んでいます。

トリガーポイントの特徴

トリガーポイントとは、痛みの原因となるシコリのことであり、離れた場所に対しても痛みを引き起こす特徴を持っています。

このトリガーポイントが発生する原因として、筋膜が大きな影響を与えていると考えられています。

トリガーポイントとは

トリガーポイントとは、筋膜がよじれ癒着を起こして痛みが生じるしこりのことをいい、痛みだけではなくさまざまな症状を引き起こす原因であると知られています。

このトリガーポイントはアメリカのジョン・F・ケネディ大統領の主治医として有名なデイヴィッド・サイモンズ博士とジャネット・トラベル博士の論文によって発表されたものです。

ジョン・F・ケネディは日常的に腰痛や背部痛に悩まされており、この両主治医との出会いによって痛みが緩和され、政治活動に専念できたと語られています。
実際、ケネディは「椎間板ヘルニア」と診断され2度の手術をしていますが症状は良くならずにいました。
それは痛みの原因がトリガーポイントが原因であることを掴んでいたから、適切な対応ができたということはいうまでもないでしょう。

この論文の中では、さまざまな痛みや身体の不調の原因の多くは、トリガーポイントによるものであると発表しているのです。

トリガーポイントの症状

トリガーポイントは「トリガー=引き金」という意味を持っている言葉でも分かる通り、痛みの引き金になるポイントのことを指しています。

ポイントとは具体的にさまざまな部位にできるシコリ(硬結)の事を指しています。シコリは筋膜の癒着し筋肉にひどいコリが生じている部位に発生します。
筋肉自体にできるだけではなく、筋肉と骨との接合部分や靭帯、腱などにも生じます。
このシコリが原因となって、痛みやコリ、痺れなどを引き起こします。

ただその部位だけに発生するのではなく、離れた場所に対しても痛みやコリなどを引き起こす特徴を持っています。
その特徴のことを「関連痛」と呼んでいます。

場合によっては痛みやコリだけではなく、ひどい発汗やめまいを引き起こすような自律神経症状を伴うこともあり、その症状のことを筋筋膜性疼痛症候群(MPS)と呼んでいます。

痛みの原因は筋膜が原因?「関連痛」のメカニズムとは

筋膜は筋肉を包み込んでいるだけではなく、骨や関節、内臓などもすべて包み込んでいることが知られています。

筋膜が癒着することによってシコリができ、トリガーポイントとして痛みやコリの原因になってしまうのですから、どのような場所にもこのトリガーポイントが発生する可能性があると言えます。

しかもこのトリガーポイントには関連痛と呼ばれる、シコリのある場所とは別の場所に痛身が生じるという現象が現れます。

この現象については1938年に発表されたイギリスのカレッジホスピタル大学臨床研究においても明らかになっています。この研究がのちのサイモンズ博士とトラベル博士のトリガーポイントについての論文に繋がります。

通常、痛みが生じるとその痛みの部位だけに着目してしまいますから、トリガーポイントを見逃してしまっていることになります。

トリガーポイントは筋に多様なパターンがありますので、関連痛が生じている領域からトリガーポイントの位置を特定し、適切な治療を行うことが必要です。

トリガーポイント治療の方法について

筋膜リリース
ストレッチ&スプレー
虚血圧迫法

トリガーポイントに対する治療法にはさまざまなものがありますが、その中でも代表的な治療法をご紹介していきましょう。

筋膜リリース

筋膜リリースとは筋膜の癒着を解きほぐす手技のことを指しており、筋膜を圧迫したり伸ばしたりすることよって、よじれた筋膜を元通りに開放していきます。

筋膜は冒頭からお伝えしている通り、筋肉や内臓などを包み込んでいる膜であり、収縮性に富んでいる性質を持っています。

しかし悪い姿勢を続けているなど筋膜を偏らせるようなことが続いてしまうと、筋膜の繊維が癒着したり拘縮したりし、動きが悪くなってしまいます。
動きが悪くなった筋膜がトリガーポイントを生み出す原因になることから、筋膜リリースはとても重要であると言えるでしょう。

ストレッチ&スプレー

ストレッチ&スプレー」とは、冷却スプレーによって患部を冷やして痛みの感覚を麻痺させて、痛みが生じない間に多動的にストレッチして収縮している筋肉を元に戻す方法です。

この方法は、トリガーポイントを発表したトラベル博士の論文においても推奨されている方法です。

トリガーポイントを正確に把握していなくても治療が可能であり、一度に広範囲のトリガーポイントに対して対応できますから、即効性のある治療法だと言えるでしょう。

虚血圧迫法

虚血圧迫法」とはトリガーポイントを不活性化させるための手技であり、トリガーポイントを押したりつまんだりしながら、血流を改善させる方法のことを言います。

筋が緊張して痛みなどの感覚が過敏になっているトリガーポイントを探し出し、その部位に応じた圧力を加えていきます。
圧力を加える時間は20秒から1分程度であり、不快感や緊張が現れないようにするのが重要です。

この圧力によって血流をいったん途絶えさすことができ、その圧を開放することによって血流を改善させることができます。

トリガーポイントが不活性化し、痛みやコリを抑える効果が期待できます。

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