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モビライゼーションの手技の方法~その特徴や流れについて

モビライゼーションとは

モビライゼーションとは、1980年代に開発されたと言われており、制限された関節を手技によって伸長させながら、正常に戻し柔軟性を獲得させる治療法です。
施術の方法は手技によって行われ、比較的大きい振幅で、ゆっくりと反復的に動かすことによって関節包を伸長させることが特徴的です。

モビライゼーションの手技が有効であるのは、安静肢位において関節の動きが制限されている状態です。
安静肢位とは最大まで関節が緩んでいる状態のことを指しています。

関節にはそれぞれに独特の形態を持っており、運動方向も違います。
運動方向は、屈曲・伸展・左右側屈・左右回旋の6方向であると言われますが、そのほかにもとても細かな運動が複合されていることが知られています。

関節は関節包と呼ばれる袋の中で動いていますが、関節包内において障害が生じた場合に、痛みが現れたり、動きが制限されてしまったりします。
関節の動きが制限されている場合には、この細かな複合運動に対して強い制限が現れていることが分かります。
そのような症状が現れている場合には、モビライゼーションの手技が適応されることになり、大きな効果が期待されています。

モビライゼーションの手技の方法

モビライゼーションは、その手技を行うことによって、さまざまな効果が期待できます。
関節にそのものに生じていている強い制限を改善させたり、制限によって生じる痛みを軽減させることを目的として手技が行われます。

また同時に関節周辺に生じる、痛みなどについても軽減させることが可能です。
モビライゼーションの手技を行うには、適応しているかどうかの機能評価が必要であり、その評価にもとづいた手技が行われることになります。

モビライゼーションでの機能評価

モビライゼーションの手技が適応であるのかどうかは、関節に対する適切な評価が必要です。
例えば、じん帯が伸長している場合や断裂が考えられる場合には適応しているとは言えず、手術が必要な場合があります。
そのため適応しているかどうかは、骨運動学の視点で評価しなければなりませんし、関節運動学の視点からの評価も必要となります。

関節が正常に稼働している際には、関節包を適切に緩ませることができます。
関節そのものやその周囲が適切に機能していなければなりません。
そのため関節可動域や痛みだけではなく、筋力や運動パターンなども総合的に評価しなければなりません。

また必要に応じて関節の遊びや滑り、転がりといった関節副運動に対する検査も含め、より詳細な評価が行われることもあります。
それらの評価を行った中で、明らかな神経圧迫や疾患などではない痛みが生じていたり、関節包内での稼働性が低下しているような場合において、モビライゼーションの適応となります。

モビライゼーションの手技のやり方

モビライゼーションは治療台などで患者自身がリラックスできる肢位となり、施術者においても安定して手技ができる姿勢で行います。
手技は、対象となる関節を緩ませた状態で行い、安静肢位において実施することが大事です。
そのため関節に緊張が強い場合には、筋膜リリースや軟部組織に対するモビライゼーションによって、筋筋膜に対するアプローチを事前に行われることも少なくありません。

モビライゼーションでは関節の痛みを軽減させることや関節の拘縮を改善させることを目的とします。
関節の痛みを軽減させることを目的とする場合、安静肢位において牽引したり、小さな振幅でゆっくりと振動を与えます。
この場合、関節の可動域に応じた、実際に取れる安静肢位で行うことが特徴です。
数分程度、必要な方向に適切な力を加えたり、規則正しくゆっくりと振動を与えることによって、関節を本来の稼働域に戻すことが可能です。
また拘縮の改善は可動域の制限内である安静肢位において手技を行うことが大事であり、牽引やストレッチによって少しずつ改善を図っていきます。

そのため事前に筋膜リリースや軟部組織に対するモビライゼーションによって、安静肢位を作り出してから施術に取り組むようにします。
モビライゼーションの手技は持続させることが特徴的で、ゆっくりと牽引やストレッチを行い、緩ませながら可動域を拡げるようにしていきます。
痛みが強く出る場合においては、関節の遊びや滑りに対するモビライゼーションを集中的に行うことで改善を期待することができます。

モビライゼーションの流れ

モビライゼーションは関節の痛みを軽減させ、可動域を広めるために、順序だてて治療が行われることになります。
筋膜リリースや軟部組織に対するモビライゼーションを活用し、筋筋膜に対するアプローチをしながら改善を目指していきます。

関節に対するアプローチによっても改善が見られないようであれば、神経系に対するモビライゼーションが用いられます。
身体全体を診て評価してみると、関節と神経が別々に作用しているわけではなく、関節が神経に影響を与えていることや神経が関節に影響を与えていることもあります。

モビライゼーションの利点としては、総合的な評価から原因を明らかにしてアプローチできることであると言えるでしょう。

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