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軟部組織モビライゼーションとは?徒手による治療方法について

軟部組織モビライゼーションとは

筋肉、血液、血管、腱、靱帯などの軟部組織に対するアプローチにはさまざまなものがあります。
大きく分けて「軟部組織モビライゼーション」と「筋膜リリース」に分けることができます。

その中でも軟部組織モビライゼーションは、徒手による筋筋膜に対するアプローチ方法であり、運動や圧迫、接触などによって、身体に生じる痛みやコリ、痺れの改善に期待されているものです。

軟部組織の緊張をほぐし血流を改善させながら疲労物質を除去させ、痛みを取り除きながら動きを改善させる徒手理学療法です。

「軟部組織モビライゼーション」と「筋膜リリース」の違い

「軟部組織モビライゼーション」を語る上においては、「筋膜リリース」と比較されることが少なくありません。
どちらも同じ軟部組織に対するアプローチ方法になりますが、筋膜リリースは筋膜の動きを正常化させることによって、痛みやコリを改善する手技療法を指しています。

安全な手技療法であり、筋膜リリース自体が一般的な施術法となりましたので、アプローチ方法として取り入れている施術家も少なくありません。

軟部組織モビライゼーションは、神経や筋肉、リンパ、血流などに対してアプローチすることができ、これら軟部組織の緊張を解きほぐすことによって伸展性を取り戻することができます。

軟部組織モビライゼーションの徒手療法について

軟部組織のモビライゼーションは、主に筋や結合組織に対するマッサージやストレッチング、指圧療法などによって患部をアプローチする方法です。
筋や結合組織に軽い圧をかけながら動きを施していき、痛みやこりを生じさせている患部や全身の血流、リンパの流れに変化を与えていくことが特徴です。

古来から親しまれてきた徒手療法が含まれており、タイ式マッサージスウェーデン式マッサージドイツの徒手理学療法などを含んでいる概念になります。

軟部組織モビライゼーションの治療方法

・マッサージ(伝統的・横断・機能的)
・ストレッチング

軟部組織モビライゼーションには、徒手によって体に触れて、圧迫・多動的運動・自動的運動などを用いながら伸長性を改善し、疼痛やこり、痺れを取り除いていきます。

マッサージ(伝統的・横断的・機能的)

軟部組織モビライゼーションで用いられるマッサージには、日本における一般的なマッサージをはじめとして、病変組織に対するアプローチ方法や関節運動を伴うものなど、さまざまな種類があります。
伝統的マッサージは、古来から親しまれてきたタイ式マッサージやわが国におけるあん摩マッサージ指圧などといった手技を指しています。
欧米などにおいては積極的に医療現場で活用されており、リハビリテーション医療、スポーツ現場などにおいても用いられています。

神経や筋、血管などに作用させることができる手技療法であり、生体組織に対して科学的にアプローチすることができます。
痛みやこりを取り除く鎮痛作用のほかに、筋の緊張を解きほぐす効果や収縮を促進させる効果に優れているといえます。

横断マッサージは、軟部組織に生じる病変組織に対して直接摩擦刺激を与え、痛みやこりの軽減や運動性の維持向上、線維間の癒着を剥離させるなどといった効果が期待できます。
機能的マッサージは、筋繊維の緊張をほぐすことを目的とした手技であり、関節を一緒に動かしながら筋を伸張させる特徴を持っています。

ストレッチング

ストレッチングにはさまざまな方法がありますが、軟部組織の緊張を伸張させることによって解きほぐし、可動がスムーズになることを目的とした手技療法になります。

一般的にストレッチングというと、筋肉を伸ばした状態で反動をつけずに伸張させていくという静的ストレッチのことをイメージするのではないでしょうか。
静的ストレッチは理学療法士においても使用頻度の高いスタティックストレッチングと呼ばれるものです。

そのほかにも動的ストレッチと呼ばれる「バリスティックストレッチング」「PNFストレッチング」などがあります。
動的ストレッチとは、筋を伸ばした状態から、反動をつけて伸張させていく方法を言います。

ただし期待できる効果は高いものの、筋や腱の損傷のリスクがありますから注意が必要です。

そのためバリスティック ストレッチングのように、伸ばしたい筋肉と反対の作用を持つ筋肉を収縮させる、相反抑制を組み合わせたストレッチ方法が効果的であると注目されています。

またPNFストレッチング(固有受容性神経筋促通法)のように、静的でもない、動的でもない、抵抗や誘導をかけながら収縮させたあとに、ストレッチによって伸展させる方法もあります。

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