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仙腸関節モビライゼーションのやり方 ~仙腸関節障害や仕組みについて

仙腸関節の仕組みと仙腸関節障害について

仙腸関節とは、骨盤を形成している仙骨と腸骨による関節のことで、靭帯によって固定されています。

しかしこの関節は出産などをきっかけとして緩んでしまうことが多く、臀部や大腿部の痛みなどが生じる仙腸関節障害を引き起こしてしまうことも少なくありません。
もともと仙腸関節は3~5㎜程度しか動いておらず、全身のバランスを取るために必要な関節であると言えます。

しかしいったん緩んでしまうと、周辺に対して不具合が生じるようになり、腰痛などの障害が発生してしまうのです。

仙腸関節障害の症状と治療

仙腸関節はお伝えしている通り、関節を稼働させて何か動作を行うというものではなく、極わずかな動きによって、全身のバランスをうまく取っていると考えられる関節です。
仙腸関節が緩んでいる場合においても、その周辺である腰部や臀部、鼠径部などだけではなく、下肢にまで影響を及ぼすことが少なくありません。

そのため、症状によってはそれが仙腸関節障害によるものだと気付かれずに、治療が行われているということもあるのです。

例えば、重い物を持ち上げてぎっくり腰を起こした場合、仙腸関節に極小の不適合が生じていることが珍しいことではありません。

しかし仙腸関節障害と単なる腰痛との鑑別ができずに、見落とされているケースも少なくないのが現状なのです。

腰部に対するアプローチだけしていると、結局は仙腸関節のゆるみが解決していないわけですから、腰痛が慢性化してしまうことにも繋がってしまいます。
それは仙腸関節をどのように評価すればいいのか、機能が理解されておらず、評価方法も確立されていないことがその要因だと言えるでしょう。

仙腸関節障害に対する診断

仙腸関節障害の診断は、レントゲンやCT、MRIなど画像診断では発見するのは難しいために、一般の整形外科においては単なる腰痛として診断してしまうことが多いのではないかと考えられます。

画像に映らないから、よく分からないというのが本音なのでしょう。
仮に画像診断によって、別の腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などが認められる場合においても、仙腸関節障害を起こしている場合には、それらとは違った症状が現れます。

仙腸関節にゆるみが生じると、特定の部位に痛みが生じますから、それらを丁寧に触診していくことが、正確な症状を知るうえで重要になります。

機能障害を起こしている仙腸関節は、圧迫することによってさらに捻じれてしまうことから、強い痛みとなって現れます。

腰部の仙腸関節を指で押圧することによって痛みがでることが特徴です。
また骨盤付近を押
圧して痛みが生じることもあります。

そのため治療が必要な患者からの症状をお聞きすると、仰向けで眠れない、椅子に腰かけて座れない、痛みがある方向で横になれない、などが多くなっています。

一般的な治療法としては、鎮痛剤で痛みをとめ、骨盤ベルトなどによって保存的治療を行うことが一般的となっています。
痛みが強い場合には、ブロック注射が行われることもあります。

仙腸関節モビライゼーションのやり方

仙腸関節障害は先ほどもお伝えしている通り、画像には現れませんから圧痛部位、疼痛部位を確認し、さまざまな徒手的テストによって適切な施術方法が選択されることになります。
つまり手探りで症状を探り、徒手によって改善させることが仙腸関節障害に適している治療法のひとつだと言えるでしょう。

仙腸関節モビライゼーションにおいては、徒手によって仙腸関節の可動域を改善させ、周辺筋肉の緊張を取り除くことによって滑走性を改善させます。

また同時に必要に応じて股関節のストレッチ、運動療法によって臀部の筋力強化も症状改善させるためには大切な要素となります。

さらに歩行状態が悪くなっていることがありますから、正しい姿勢で歩行できるように指導することも重要になります。
姿勢不良がみられる場合においては、座骨神経痛や梨状筋に痛みが生じていることが多いため、他動的に股関節を外旋させるなど理学療法によって施術していきます。

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