その他の手技

【茨木英光】腸の中を隔てる「門」

先生、こんにちは。
茨木英光です。

腸とは口から肛門まで一本の長い管のようなイメージがありますが、実際には潜水艦の内部のように厳格に区分けされています。

なぜ区分けが必要なのでしょうか。
今日はそのことを一緒に考えて見たいと思います。

1 噴門
食道と胃を隔てる門

胃酸の逆流を防ぐことが主な役割となっています。

胃酸のpHは1~2と、とても強酸な状態に保たれているため、食道の組織に触れるとただれてしまいます。
食道の組織は重層扁平上皮と言って、皮膚と同じく薄皮を重ねたようなもので胃酸に対して弱く、一方噴門から下は単層円柱上皮に変わっていて、分泌するための組織となっています。

pHが3以下だと細菌は増殖できないと言われています。

2 胃
胃は殺菌をすることが主な役割です。
胃酸によって食べたものが溶けていきますが、脂を溶かすのは小腸が主に担っています。

3 幽門
胃と十二指腸とを隔てる門

胃の中のものが適宜流れ出やすいようにゆるい門となっています。
しかし生肉を食べる時や、川の水を飲まなければならない時などには、ゆっくりゆっくりと口に入れて、胃酸による殺菌が終わるまでは、小腸に流れて行かないように気をつけなければなりません。

4 小腸

脳に血液が行く前段階の非常に大切な場所であり、ここは「聖域」なのです。

まず十二指腸のファーター乳頭から膵液や胆汁が分泌され、脂肪やタンパク質が溶かされていきます。
そして空腸・回腸で吸収栄養と水分の吸収が行われて肝臓へと流れていきます。

小腸の細胞で吸収される際にも白血球が殺菌を行ってくれていると考えられます。
ここで殺菌やウイルスが処理できなければ、狭義の意味で体内に侵入を許してしまうことになります。

5 回盲弁
小腸と大腸とを隔てる門

大腸からの大腸菌や寄生虫の流入を防いでいます。
大腸菌というと汚いイメージがありますが人間にとっては必要なものなのです。

大腸菌の役割は腸内での発酵です。
発酵とは糖を分解しながら炭酸ガスと熱を発生させるものなので、この発酵による熱が体温維持のために大いに役立っています。

6 大腸

便を貯めておいて、排便のコントロールをすることが人間として生活するための大きな役割となっていますが、それ以外にも上記のように体温の発生や飢餓状態の時に便の中の養分を吸収して生命を維持させることにも役立っています。

7 肛門

外部との遮断、排便のコントロールだけでなく、汚い川などに入った時に菌が体内に入って来ないようにする役割もあります。

いかがでしたでしょうか。
腸というのはそれぞれ役割が異なっており、厳格に区切られている器官なのです。

その区切りである門の開閉を厳格化することで、アトピーやアレルギーの改善ができるのではないかと考えています。

施術の方法はヴィセラルモーションテクニックでそれぞれの門についての方法はご紹介してありますが、ご自身でも門の可動性について考えて臨床に携わってみるのも面白いと思います。

ありがとうございました。
茨木英光


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