先生、こんにちは。
茨木英光です。
今日は脳神経について学んでみようと思います。
脳神経と聞くと何を連想するでしょうか。
まずは「脳神経外科」ではないでしょうか。
しかし脳神経外科では脳腫瘍や脳梗塞などの大脳の手術が主ですので狭義の意味での脳神経とは異なります。
脳神経という言葉の定義は「脳幹から出る12対の末梢神経」と言えます。
イメージしやすく表現すると「ムカデのヒゲ」と連想してみてください。
ムカデの頭が大脳で、胴体が脊髄
いっぱい出ている脚が末梢神経と思ってください。
ヒゲは顔から生えていますから、ムカデの顔が脳幹というイメージです。
脳神経を学ぶ時、まずは番号と名前を覚えたと思います。
これを3つのグループに分けて覚えてください。
第1グループ 脳が伸びてできたもの
Ⅰ嗅神経 | 嗅覚 |
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Ⅱ視神経 | 視覚 |
第2グループ 脳幹から出ているもの
Ⅲ動眼神経 | 上眼瞼挙筋、上直筋、内直筋、下直筋、下斜筋の運動 毛様筋・瞳孔収縮筋への副交感神経支配 |
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Ⅳ滑車神経 | 上斜筋の運動(首を右に傾けて左上を見る) |
Ⅴ三叉神経 | 咀嚼筋の運動・頭部、頚部、副鼻腔、鼓膜外面の知覚 |
Ⅵ外転神経 | 外直筋の運動(外方を見る) |
Ⅶ顔面神経 | 顔面表情筋の運動、下の前2/3の味覚、外耳周辺の一般知覚 耳下腺などの分泌腺の副交感神経支配 |
Ⅷ前庭蝸牛神経 | 平衡感覚、聴覚 |
Ⅸ舌咽神経 | 舌の後ろ1/3の味覚と一般知覚、頸動脈小体からの内臓性知覚 ✔ (血圧と酸素濃度の調整)、耳下腺への交感神経支配、咽頭・喉頭の運動 |
Ⅹ迷走神経 | 胸腔、腹腔内臓器への副交感神経支配 |
第3グループ 実質は末梢神経
Ⅺ副神経 | 胸鎖乳突筋、僧帽筋の運動 C1~C5 舌の運動 |
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Ⅻ舌下神経 | 舌の運動 |
すべての番号、名称、働きはざっくりと言えるようになっておきましょう。
図で見るとよく分かるのですが神経が出ている高さがこのように3つに別れています。
第1グループは脳が伸びて作られていますので脳そのものなのです。
嗅神経は前頭葉のすぐ下にありますし視神経は硬膜に包まれています。
視神経の中は脳脊髄液で満たされていて、それが眼房水として眼球内を満たしていますので眼圧は実は脳圧なのです。
ですので脳圧を下げる手技療法で緑内障は改善することができます。
決してシュレム管からの排水不足ではありません。
脳脊髄液の眼球への供給過剰で眼圧は上昇するのです。
第2グループの脳幹から出ている神経が狭義の意味で脳神経と言えると思います。
脳幹からシナプスを介して末端まで行っているところからもそれが伺えます。
第3グループは「脳神経もどき」と言ってもいいくらいです。
Ⅺ副神経は 僧帽筋の支配神経です。
筋肉の勉強をする時に「僧帽筋の支配神経はⅪ副神経」と見て、なんだか僧帽筋は他の筋肉と違って脳が直接支配している特別な神経かと思ってしまいそうですが副神経は第2頚神経から出て、それが一旦頭蓋内まで上行してそれがもう一度下降して僧帽筋に到達しています。
なので純粋な末梢神経といってもいいくらいです。
このように12対の脳神経といってもその性格は番号によってかなり異なることが分かります。
手技療法家にとって脳神経は苦手な分野なイメージがありますが自律神経、頭痛、めまい、このような症状を扱っていきたいとお考えの先生はぜひ積極的に勉強していきましょう。
一気に理解するのは大変ですから、今日は
「脳神経は3つのグループに分ける」
このことを覚えておいてください。
次回は脳神経と自律神経について学んでみたいと思います。
ありがとうございました。
茨木英光