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【茨木英光】交感神経幹と結びつく舌咽神経

先生、こんにちは。
茨木英光です。

前回は脳神経のお話で以下の4つが自律神経成分を持つということをお伝えいたしました。

Ⅲ 動眼神経
Ⅶ 顔面神経
Ⅸ 舌咽神経
Ⅹ 迷走神経

この中でも舌咽神経が最も生命維持に直結する大切な神経だと思っています。
今日は交感神経幹と舌咽神経との関連についてのお話です。

・交感神経幹の上はどうなっているの?
自律神経を勉強するときに必ず目にする図が交感神経幹です。
交感神経幹は脊柱の前にへばりついていて、首から仙骨までと、とても長い線維で全身に伝達しやすい構造となっています。

一方で副交感神経は脳幹と仙骨から出ていますので、その働きも一点集中型という特徴があります。

交感神経幹は頚椎の前方では、上中下と3つの神経節があり、動眼神経や顔面神経へのシナプスを形成しています。

しかし大抵の解剖図では上頚神経節の上が切れています。
僕はここがずっと謎でした。

・本当に切れているの?
・それともどこかにつながっているの?
・つながっているのならそれは脳から交感神経節に司令が降りてきているの?
・それとも交感神経幹からどこかに情報を発信しているの?

いろいろと疑問がつきませんでした。

それを解決してくれる図が「日本人体解剖学」 南山堂 ここに載っていました。

上頚神経節の上は主に3つの枝に別れていて

・頸動脈
・舌咽神経
・迷走神経

に分岐していました。

中でも頸動脈の血管壁に絡みつくように枝を出しているものが一番太いものでした。

頸動脈と舌咽神経は脳に血液を登らせる生命維持に最も大切な器官です。
脳への血流は一瞬たりとも届かなくなると人は気を失ってしまいます。

そこに交感神経幹はつながっていたのです。
上頚神経節の上をぷっつりと切ってしまう図は自律神経を学ぶ上で実にもったいないことだと思います。

・カイロプラティックの創始者D.Dパーマーが重視していた「トーン」
トーンtoneとは、一分間に60回程度脳が自律的に発する活動電位の放電「頻度」のことを言います。

例えば、針で軽く触れると痛くはありませんが、深く差し込むと激痛が走ります。
この激しく痛む時に活動電位は過剰にプラスに高く上昇するのではなく、放電頻度が上昇するのです。

このトーンの均衡を整えることが肝腰であるとD.Dパーマーは説いています。
そしてトーンを整えることに舌咽神経は大きく関わっています

舌咽神経節の中にはファーターパチニ小体という受容器が数多く入っていてこの受容器が伸びたり圧迫を受けることでトーンを発生する仕組みとなっていて頸動脈を収縮させたり、収縮をやめたりしています。

収縮と弛緩ではなく、収縮と収縮をやめることであることにご注意ください。

首を上を向くストレッチをすることでトーンを発生し、自律神経が整っていきます。
そのため体を反らす運動は若さを保つ秘訣となりますし、首の可動性を回復させることがファーターパチニ小体を刺激して脳への血流を維持する仕組みとなっています。
ここが私たち手技療法家として、首の可動性で自律神経を調整できる理由となっています。

お越しになる患者様は真上を見れない人もかなり多いというのが実感です。
そして本人はそれに気がついていない場合がほとんどです。
それだけ上を向く機会が少ないということだと思います。

座った状態で上を向いてみてください。
ちゃんと真上より後ろが見れていますでしょうか。

上を向くということは首の可動性を保つというとだけではなく交感神経幹を伸ばすことも兼ねているということです。

なので喉の筋肉が伸びるくらいしっかりと、上を向く習慣をぜひ付けてください。
起立性低血圧、ホットフラッシュなどを悩んでいる方はぜひ上を向くことを心がけてみてください。

ありがとうございました。
茨木英光


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