先生こんにちは。
10年前にこのタイトルでメルマガを書いたことがあるのですが、もうだいぶ前になりますし、新たに興味深い記事を見つけましたので、みなさまと共有したいと思います。
結論から申し上げますと軟骨の外側1/3には血管が存在しています。
血管には神経も伴いますので半月板損傷や椎間板ヘルニアなどの関節痛は激痛なのです。
関節周囲の筋肉が痛いのではなく、軟骨そのものの痛みなのです。
医療界の常識として、軟骨には神経や血管は存在しないので「軟骨は痛みを感じない」と言われています。
それならば自分の膝にドリルを差し込んでみても痛みは感じないはずです。
それにぎっくり腰のあの強烈な痛みは筋肉痛とはまったく質の違うものであることは、多くの治療家の方も経験済みなのではないでしょうか。
こちらの病院のホームページを御覧ください。
https://www.moriseikeigeka.com/disease/meniscus_structure/”
このページの2段め、半月板の血流(治りやすい場所、治りにくい場所)という段落があります。
半月板の外側は赤いラインで塗られていて、「血流がある部分」と書かれています。
さらに、
「半月板の外側1/3には血管が存在し、直接半月板を栄養しています。
しかし内側2/3には血管が存在していません。
血管が存在している部分に損傷を受けた場合には修復されることがありますが、
血管が存在していない部分に損傷を受けると修復が困難になります。」
とあります。「直接半月板を栄養している」と。
そして、この病院では手術の方法も、半月板の外側とその中では異なっています。
https://www.moriseikeigeka.com/disease/meniscus_treatment/
「血流のある外側1/3では半月板を縫合のみで処置してますが、血流のない内側ではフィブリンクリット法と言って血液で糊状のものを作って埋め込んでいます。」
このように軟骨には血管が存在するということを知っている医師もいらっしゃるのです。
よくぞここまで詳しく書いてくださいましたという感謝の気持ちでいっぱいです。
では軟骨には血管だけが存在して、神経はないのでしょうか。
血管があるところには必ず神経も存在しているのです。
血管壁を作っている細胞にも栄養が必要です。
だから血管壁にも細かい血管が網目状にへばりついています。
これを通称「血管の血管」といいます。
そこには血管だけではなく、神経も網目状に絡みついているのです。
それを「血管の神経」といいます。
逆にまた大きな神経にも血管が栄養を送り込むために入り込んでいます。
なので同じく「神経の血管」「神経の神経」というものも存在しているのです。
しかし神経は血管よりもずっと細いものなので、遺体解剖する時点では死後何日も経過しているでしょうから、細い神経は萎縮して染料などでも染まらなかったのではないでしょうか。
膝専門の整形外科医で、日本のベストドクター100選にも選ばれた井上雅弘医師はこのように言っています。
「1980年代には、米国の研究者が半月板にも血行があると報告。血流があれば、割れてもくっつく可能性があるとして、損傷部を縫い合わせる治療法が広まり、現在も主流となっている。
初期に手術を実施した58人で、半月板の外側から5ミリ以内の、血行が豊富な部位を損傷した51人では、うまく癒合した率は94%。
一方、5ミリを超え血行が乏しいところを損傷した7人では29%に低下した。」
以上のことからも、そして自分が膝や腰を痛めた経験からも私は軟骨は痛みを感じるものとして手技療法を行っています。
腰の痛みの場合は、椎間板の位置を前方に戻す操作を。
膝の場合は、半月板を奥へと戻す操作を行います。
損傷の程度にもよりますが、軟骨の位置を戻すと痛みはすぐに改善します。
これを周囲の筋肉の炎症や筋膜のトリガーと考えてしまうとうまく効果は出なくなってしまいます。
人間の感覚神経というものはとても正確で精密なものだと私は思っています。
痛みの勘違いなどはないと思っているくらいです。
今までそのように言われてきたのは感覚受容器が小さすぎるため、遺体では発見できなかったからではないでしょうか。
軟骨の血流や感覚受容器について私達は研究者ではないので自ら実験によって証明することはできませんが、様々な説があることを前提に施術に当たってみるのも良いと思います。
ありがとうございました。
茨木英光