先生、こんにちは。
茨木英光です。
なかなかコロナが終息しませんね。
重症化で懸念されている症状として挙げられるひとつに脳の損傷があります。
髄膜炎やインフルエンザ脳症など、外敵はどこから中枢神経に侵入していくのでしょうか。
次の3つが挙げられます。
1 脳のバリアが弱くなる
2 嗅神経から侵入する
3 末梢神経から侵入する
今日は1番目の脳のバリアについて見てみましょう。
脳の血管というのは、通常の血管と違って、アストロサイトという保護する細胞に囲まれています。
手足の血管というのは小さな穴がいっぱい開いているホースと思ってください。
その穴があるおかげで血管から細胞へと栄養を送ることができる仕組みとなっています。
脳の血管はその穴開きホースにつぶつぶゼリーをペタペタと貼り付けたようなものです。
そのゼリーのおかげで血液の中に良くないものが含まれていても、容易に脳細胞には入って行けないような仕組みになっています。
このつぶつぶゼリーで守る構造のことを血液脳関門「Blood Brain Barrier」と言います。
BBBと覚えてください。
脳のバリアとなってくれているBBBですが、中には容易に通過して脳の細胞へと入ってしまうものがあります。
それがアルコールです。
お酒が血液脳関門を通過して、脳に入って行く時に酔いという快感をもたらしているのです。
なので一気飲みや深酒、度数の高いものなどは、脳のバリアを少しずつ破壊することと引き換えているのです。
お酒を口に入れて何秒後にフワーっと気持ちよくなってくるでしょうか。
みなさんご存知のとおり飲んだ直後です。
血流のスピードは思っているよりもずっと速くて、大動脈では秒速1メートルもあります。
ですからお酒を飲んだら即座にアルコールが血液脳関門を突破しているのです。
それからもっと危険なのがシンナーなどの有機溶剤です。
溶剤というだけあって、まさにBBBを溶かしているのです。
人間の細胞膜はリンでできています。
つまり脂です。
シンナーを吸って快感を覚えるという現象は中性洗剤でお皿にこびりついた脂が落ちることと同じことで、脳の細胞を溶かしているということになります。
またニコチンも血液脳関門を容易に通り抜けます。
ニコチンは脳内で情報を伝えるアセチルコリンの分子構造とよく似ています。
そのためアセチルコリンに代わってニコチンがアセチルコリン受容体と結合してしまいます。
アセチルコリンは自分の体から出る物質のため分解酵素によって分解されますが、ニコチンは分解されず長時間にわたり受容体に残ります。
その結果、ニコチンは大量の刺激を脳の神経に与えてしまい長く続くとニコチンを欲する脳に変化しまいます。
これがタバコをやめられない原因となっているのです。
習慣的にお酒やタバコを常習していると、それだけ血液脳関門のバリアを弱めてしまっていることが分かります。
新型コロナにかかったら自分も脳に後遺症が残るのか、それは運ではなく、リスクの要素を自分が持っているか否かにかかってきます。
逆に言うと、侵入経路を理解することで予防の対策法が分かってくるはずです。
お酒やタバコなど、生きる上での幸せにも結びついていますから、全部やめることもないとは思いますが、必要以上に摂取していると感じている場合には何か趣味を見つけるなど、楽しく体質改善していく方が良いのだと思います。
今日は脳のバリアについて考えてみました。
僕は健康につながるものとしてウォーキングを趣味としています。
あれこれ考え事をしながら歩くのはなかなか楽しいものです。
ありがとうございました。
茨木英光