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オステオパシーとは
オステオパシーとは、アメリカ・ミズーリー州の従軍医師であるアンドリュー・テイラー・スティルが提唱した手技療法のことです。
日本には大正時代に伝わっており、現在はアメリカだけではなく、ヨーロッパでは法整備されている国も多く、WHOでも高く評価されています。
療法としてだけではなく、哲学としての側面もありますので、その独特の医学体系を学ぶ必要があります。
オステオパシーを創設したスティルの考え方
スティル医師は、2人の息子を流行性の髄膜炎によって亡くした経験によって、本当の意味で身体を治すとはどういくことなのか、深く研究を重ねることになりました。
自然治癒力を引き出すことによって、健康を回復させることができる治療法であり、それがオステオパシーの考え方となっています。
わが国においてオステオパシーは単に療法や手技をだけ指すように考えられている側面がありますがそのようなものではなく、医学哲学として提唱しているものなのです。
その医学哲学の中に、さまざまな手技が含まれています。
オステオパシーは、スティルの西洋医学的な知識がベースとなっており、骨格や循環器、脳神経系など身体をひとつのユニットと捉えていきます。
手技では運動器やリンパの流れ、髄液の循環といった解剖学的、あるいは生理学的な観点で身体を捉え、自然治癒力を高める施術法となっています。
オステオパシーの理論
- 身体は全体でひとつのユニットである
- 身体の構造と機能は相互に関係している
- 血液の流れは自然治癒力を高める上においてとても重要である
スティルは、自身の考えを理論として、上記のようにまとめています。
身体は全体でひとつのユニットである
西洋医学での対処療法に限界を感じ、解剖学を学ぶなおす中で、人体は互いに影響しあっていることを発見します。
例えば腰痛を引き起こした場合に、必ずしも腰に原因があるわけではありませんし、腰が原因によって別の部位や内臓に大きな影響を与えることもあります。
つまり身体は全体でひとつのユニットであるということが言えるのです。
身体の構造と機能は相互に関係している
また身体の歪みは、身体の機能にも大きな影響を与えていることを発見します。
構造が機能に対して大きな影響を与えるものであり、逆に機能が構造に対しても大きな影響を与えることがあります。
例えば内臓の機能が低下してしまうと、関連する筋肉が緊張し、身体の歪みを生じさせることがあります。
つまり身体の構造と機能は相互に関係していると言えます。
血液の流れは自然治癒力を高める上においてとても重要である
さらに血液に着目し、身体を創り上げているものは血液であると考えるようになりました。
血液の流れが悪くなることによって、その部位に流れる血液が腐敗を起こし、悪くなった血液が流れることによって、病気やコリ、痛みを引き起こします。
そのため手技を行うことによって血流を良くなり、特定の部位に血液が滞ることがなくなることによって自然治癒力が高まるというものなのです。
オステオパシーの施術方法
オステオパシーは、身体全体をひとつの繋がったユニットとして捉えます。
痛みやコリ、疾患はその患部に原因があると考えるのではなく、あらゆる器官がきちんと機能しているのかどうか調べる必要があります。
そのため痛みやコリの部位に対して、手技によって直接的に指圧やマッサージを施して影響を与えるというものではありません。
つまり関節や筋肉だけではなく、内臓や神経、血管、リンパ、免疫などあらゆる器官を総合的に診断することによって、不調をもたらす根本原因を探るのです。
そのため手技や技術にはさまざまなものがあり、冒頭から述べている基本的な理論のもとに施術を行うことになります。
いずれにおいても、ソフトであり安全なものであることが特徴です。
オステオパシーの技術『直接法』『間接法』とは
オステオパシーの施術法は大きく『直接法(ダイレクト・トリートメント)』『間接法(メカニカル・インダイレクト・テクニック) 』に分けることができます。
直接法(ダイレクト・トリートメント)とは、間接のずれをさまざまな方法を用いて元通りに戻す方法です。
制限がある関節を正常に回復させることによって、自然治癒力を高めようとする治療法です。
また間接法(メカニカル・インダイレクト・テクニック) とは関節が動きやすい方向に動かして治癒力を高める方法です。
脳に対して状態を把握させることによって、回復力を引き出すことが可能です。
『直接法(ダイレクト・トリートメント)』『間接法(メカニカル・インダイレクト・テクニック) 』はオステオパシーの中心となる施術・治療方法で、両者を兼ね備えた手技もあります。
いずれにおいてもソフトなものであり、施術による副作用や危害を与えてしまうようなことは極めて低いと言えます。
オステオパシーその他の手技や技術
ほかにも次のような手技・治療方法があります。
『ストレイン&カウンターストレイン』
筋肉の緊張を診断する中で、痛みの和らぐバランスを探し出し、その位置で姿勢を保持することによって治癒力を引き出す方法。
『筋膜リリース』
皮膚に接触することによって筋膜の緊張を緩和させ、バランスを整えながら治癒力を高める方法。
『筋エネルギー法』
患者の力を活かして、抵抗を与えながら筋肉の収縮を行い、筋肉の緊張を緩和させ関節の動きを改善させる方法。
『頭蓋オステオパシー』
スティルの後継者であるサザーランド博士が開発した手法で、頭蓋骨にある脊柱、仙骨、骨盤等に触れることによって、脳や中枢神経の動きを活発化させ、自然治癒力を引き出す方法。
『靱帯性関節ストレイン法』
サザーランド博士が開発した手法で、頭蓋以外での治療に活用されていました。
呼吸や筋肉を活用したソフトな手技である特徴を持っています。