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野口整体を構成する3つの理論と考え方

野口整体とは

昭和20年代に野口晴哉が提唱した『野口整体』。
今では多くの施術家が野口整体をベースとした治療や手技を行っていることが知られています。

野口整体とは

野口整体とは、始祖である野口晴哉が提唱し実践した治療法のことを言います。
現代における「整体」や「カイロプラクティック」と同じようなイメージを持つ方も多いのですが、人間が本来備わっている自然治癒力を高め、活性化・活発化させるための方法になります。

野口整体は「活元運動」「愉気法」「体癖論」などがベースとなって構成されており、身体の調整だけではなく、心を整えることも重要であるとして潜在意識などにも踏み込んだものとなっています。
それまでのわが国に存在していた健康法や治療法をまとめ上げて、独自の理論として提唱しているものです。

「治療」という概念を捨てて、人間本来の力を引き出して健康に導くための「体育」と呼ばれる理論が特徴的であると言えるでしょう。

野口整体の始祖である野口晴哉について

明治44年、東京上野で誕生した野口晴哉は、幼い頃に患ったジフテリアの影響で言葉に不自由でした。

そんな中で発生した関東大震災において、焼野原で苦しむ被災者に手をかざしたところ多くの人たちが快復したと言います。
その「手当て」の経験をきっかけにして、治療家を志すようになったのです。

さまざまな健康法や療術などを探求しまとめ上げ、「活元運動」「愉気法」をベースにして療術団体「自然健康保持会」を設立します。
その後、さまざまな療術の体系化を図り「整体操法」として確立し、さらに心理や体質なども踏まえた「体癖論」を完成することになりました。

この頃から整体操法は病を治すといった治療を目的とするものだけではなく、人間本来に備わっている力を引き出すための「体育」を活動の中心に位置づけるようになっています。

心と体を一体として考える独自の理論を普及させるために全国各地で講演や研修会などを開き、また潜在意識、子育て、教育などの分野にも影響を与えることになりました。

野口整体を構成する3つの理論・考え方

・活元(かつげん)運動
・愉気(ゆき)法
・体癖(たいへき)論

野口整体は「活元運動」「愉気法」、さらに「体癖論」がベースとなっている健康法です。現代の整体やカイロプラクティックのような治療という概念ではなく、自然治癒力や免疫力を高めるための健康法である位置づけが強くなっているのが特徴です。

活元運動

活元運動とは、私たちに備わっている体調を快復させようとする動きのことを指しており、そのための体操法のことを言います。

私たちは痛みが生じる場所を自然に手で抑えたり、擦ったりしますが、これは誰かに教わって行う行為ではありません。
また寝ている間にも、寝相を変えることによって、自然のうちに疲れた体をほぐしています。
このような行為自体も活元運動の一つであると考えられています。

体の内側から自然に引き出される動きに任せて、心地よく動くことによって心と体の解放を感じることが活元運動の特徴となっています。

愉気法

愉気法とは、「手を当てる」ことによって得られる効用を理論・体系化したものを言います。
始祖である野口晴哉も幼い頃に手かざしの効用について実感していますが、この経験がそのまま愉気として実践されるようになったのです。

愉気とは手のひらから気を注ぐことを意味し、その人が持っている自然治癒力を呼び起こすための方法のことを言います。
愉気の「愉」とは愉しい・愉快という意味があり、まさに愉快な気分で気を送ることが特徴的です。

体癖論

体癖論とは、人間が持っている癖を体系化した概念のことを言います。
野口晴哉は整体操法による施術を行う中で、特定の病気には性格傾向や心理、体質、運動傾向などがあることに気付きます。

体の偏りや歪みの傾向を12種類の体癖の概念に分類し、それぞれを修正するための体操が用意されているのが特徴です。