腰の手技

【茨木英光】吸引分娩の弊害 2

先生、こんにちは。
茨木英光です。

今日は先月に続いて吸引分娩の弊害についてです。
今日は赤ちゃんにとっての吸引分娩の弊害についてお話いたします。

1 頭と顔の変形

まず第一にこれが挙げられます。

吸引分娩を行うということは長時間頭が骨盤に引っかかって、出て来れない状態が続いていますから、頭が変形してしまします。
成長するに連れ、だんだんと頭が膨らんで分からなくなりますが、大人でも顔の左側だけが後ろへ流れているようなゆがみ方をしている人をたまに見かけます。
そういう人は分娩障害があった場合が多いのです。

また、鼻が極端に凹んで見える人などもそうです。
美容面で気にしている方も多いと思いますが、DMTアドバンス2でお伝えしました顔面骨の矯正のテクニックをすることで少しずつ綺麗な顔のラインに近づいていきます。
そういう方がお越しになった場合にはぜひ試してみてください。

2 副鼻腔炎

美容面以外で問題が多いのが副鼻腔炎です。
鼻の奥の骨というのは、篩骨、下鼻甲介、涙骨、鼻骨、鋤骨、上顎骨、口蓋骨などの小さくて強度の弱い骨が集中しています。

この辺りが歪んでしまうと副鼻腔の大きさに左右差が生まれてしまいます。
そうすると副鼻腔に膿が溜まりやすくなって、副鼻腔炎の原因となってしまします。

この場合も顔面骨の矯正をして、鼻の奥で可動性を失っている骨を手前に引き出していきます。
症状の軽い場合はその場で鼻の通りが良くなります。

3 乱視

乱視とは水晶体の歪みによって起こります。
居眠りをするときに目の上に腕を当てて眠ると、起きた時にしばらくぼやけて、はっきりと見えないという経験は誰もがお持ちだと思います。

これは腕で眼球を圧迫していたため水晶体が一時的に変形し、それが元の形に膨らんで来るまで焦点が合わなくなる現象です。
それが新生児の柔らかい眼球が分娩によって強く圧迫されてしまうと非可逆的に水晶体が歪んでしまいます。

乱視は生まれつきの遺伝子の異常というよりは、分娩障害によって起きた眼球の圧迫と考えるほうが合点がいくと思います。

4 頭蓋内出血

分娩によって強い圧迫が起きた場合に、頭蓋内で出血が起こる場合があります。
出血がひどいとショック症状や痙攣などが起こります。

このようなお子さまは私たちの手技療法の範疇を超えていますので、施術を受けにお越しになることはないと思いますが、知識としてこのようなことも起こりうることは頭に入れておいた方が良いと思います。

5 頭蓋内圧亢進

吸引する際に顎が上がる姿勢で新生児を取り出してしまうと、環椎が前方に滑り込んでしまい、脊柱管が歪んでしまいます。

そうなると脳脊髄液が脊髄の方に流れでなくなり頭蓋内圧がすぐに亢進してしまします。
ひどい場合には頭が膨らんで水頭症となってしまう可能性もあります。

頭蓋内圧が亢進すると、頭痛、めまい、吐き気などが起こり、体も大きくなりません。
一歳をすぎても歩けない場合も出てきます。
歩けてもふらふらしてすぐに転倒することがあります。

このような赤ちゃんに対しても、環椎をゆっくりと引き出してあげると症状はかなり良くなるのではないかと考えているのですが、まだそのような重度の患者様がお越しになったことがないので推論の域を出ることができません。

このように、分娩障害はその人の一生を左右します。
生まれつきの症状は、遺伝ということで済まされてしまっている場合がありますが、実際は分娩時の障害で起こっていることが多いと感じています。

なるべく吸引分娩を避けたいところですが、それにはどうすればよいのでしょうか。
短時間で産めるようにするためにはやはり骨盤周りの柔軟性が大切なのです。

具体的には股関節と仙腸関節の柔軟性を妊娠前からつけておくと安産の可能性が高くなります。

体操の方法は

1 四つん這いになり、足のつま先を外に向けます。
2 体重を前へと移動して、恥骨を床に付けます。
3 今度は逆に腰を引いて、お尻の位置を後ろへ、そして下へともっていきます。

この体操をすると股関節がかなり伸びる感じがありますから5回を1セットくらいでも効果があります。
ぜひ試してみてください。

また、骨盤が大きい方が安産型だと言われますがそれは違います。

骨盤は胎児を下から支えるためにあるのですから、キュッと締まっていないといけないのです。
そして、分娩時だけサッと開けばいいのです。

理想の安産タイプは、バレエをしているような、お尻が小さくて、股関節の柔軟性に優れている人なのです。
お尻が大きいのは健康面でもいいことは無いのです。

今日は吸引分娩の弊害について赤ちゃんの障害についてお話いたしました。

難産というのは母体にも胎児にも大きな影響が出てしまいます。
お医者さんも仕方なく吸引を使用する訳ですから、なるべくそうならないように妊娠前から体の柔軟性をつけたほうが良いと思います。

妊婦の患者様がお越しになったら安産は偶然ではなく、備えをすれば短時間で産みやすくなることをぜひ伝えてください。

ありがとうございました。

関節マスタードットコム
茨木英光


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