みなさまこんにちは。
今日は本態性高血圧について考えてみたいと思います。
血圧の原因の8割は本態性高血圧と言われています。
本態性とは、原因が分かっていないものを指す言葉です。
にもかかわらず、高血圧といえば自動的に減塩を指導されるわけです。
それは真実に迫れている判断なのでしょうか。
1 血圧を監視する頸動脈洞
体の中で血圧を監視する装置として頸動脈洞があります。
総頸動脈が外頸動脈と内頚動脈に分岐する膨らみが頸動脈洞です。
およそ第5頚椎の前にあり、
高齢男性の喉の下あたりの左右がポコっと膨らんでいるのを
見かけたことがあるかも知れません。
それが頸動脈洞です。
ここには圧を感知する受容器である、
ファーター・パチニ小体が多数存在しています。
ファーター・パチニ小体は、押して圧をかけたり、
引っ張ったりすると活動電位を発生させる
仕組みとなっています。
また頸動脈小体ほど、
血圧を監視する大きな装置は身体にはありません。
逆に言うと、
血圧とは脳に登っていく血液以外には監視していないのです。
全身の血の巡りを監視しているかとイメージしてしまいそうですが、
心臓より下にある手足や内臓へは、
血液は自動的に降りて行きやすいものなのです。
しかし心臓より上にある頭部へは、
圧力をもって押し上げないといけないのです。
だから血圧とは、頭部の血流のためにあるのです。
2 血管は細いほうが流れやすい
軽い力で血液を頭へと押し上げるためには、
血管は適度に細くなければなりません。
血管が太いほうが血液が流れやすそうなイメージがありますが、
登らせるには細くなければいけません。
太いストローではジュースが飲みにくいのと同じです。
そのため頸動脈洞が働くと、
頸動脈を収縮させて細くしているのです。
これは頚椎の前にある交感神経幹が大きく関わっています。
3 交感神経幹の上ってどうなっているの?
交感神経幹の図を見たことはきっとあると思います。
背骨の前にへばりついている神経です。
でも大抵の図って、交感神経幹の上端って切れていませんか?
あの上はどうなっているんだろう、って
ずっと疑問に思っていました。
交感神経幹の上端は頸動脈に絡みついて、
頸動脈洞と接続していたのです。
その他舌咽神経とも密接に繋がっています。
交感神経幹が頚椎の前に付いているわけですから、
上を向いて首を伸展すると、
交感神経幹も伸び、頸動脈洞も伸びるわけです。
そこでファーター・パチニ小体が
活動電位が発生して頸動脈が収縮して細くなり、
楽に血液が脳へと上げられるわけです。
逆に普段から上を向くことが苦手になってくると
頸動脈洞を伸ばせなくなり、
活動電位が発生しなくなってしまいます。
そうなると頸動脈は太いままとなり、
正確に言うと弛んだままとなり
高い圧力で血液を脳に押し上げなくてはなりません。
だから本態性高血圧の一因として、
頚椎の可動性の不足が考えらるのです。
高血圧を改善するためには
座って上を向いたとき、
真上よりさらに後ろが見えるくらいの可動性が必要だと
僕は考えています。
高血圧を改善するために、盲目的に減塩することよりも、
頸動脈洞の働きを理解することにより、
頚椎の可動性の改善に取り組み
頸動脈を適度に細く保つことの方が理にかなっていると思います。
首の動きを良くすることは
私たち手技療法家の得意とするところであります。
ですから手技療法とは、単に体のゆがみを改善するだけでなく
生理学的な学びを深めて行くことによって
様々な疾患に対応できる可能性を持っています。
私達の社会的役割は大きいのです。
これからも一緒に勉強して
日本の手技療法をレベルの高いものとしていきましょう。
ありがとうございます。
茨木英光