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徒手整復とは | 骨折や脱臼に対する徒手整復の方法

徒手整復とは

徒手整復とは、骨折や脱臼している状態でも切開して手術に頼ることなく、外部から手技によって元通りの形に戻すことを言います。

基本的には治療機器や設備を用いることなく手技のみで行う方法です。

徒手整復によって元通りとなった骨や関節は、再び症状を引き起こしやすい状態ですから固定法によって一定期間の安静が必要となります。

骨折に対する徒手整復

骨折していても整復さえきちんと行えば、手術の必要はなく骨を改善させることができます。
骨折して折れた骨がかなりずれていても、元の位置に整復すれば改善させることは可能なのです。

中には手術したほうがいいのではないかと考えられる骨折であっても、正しい整復術を行えば、本来備わっている矯正能力によって骨癒合させることができます。

整復したあと、きちんとギプスや添木などで固定しておき維持しておけば、ほとんどは後遺症を残すようなこともなく元通りに改善します。

ただし骨折の部位を元通りに整復して固定することが大事です。
ずれたままになっているとそのまま骨癒合してしまうこともあります。

また早期に適切な整復をしていない場合には、骨を癒合させることができなかったり、変形が残ってしまうことがあります。

そのため正しい診断と整復方法が必要になります。

脱臼に対する徒手整復

脱臼には「外傷性脱臼」と「病的脱臼」の2種類があり、肩やひじ、股関節などさまざまな部位で起こる症状のことを言います。

外傷性脱臼とは外部からの力によって関節がずれたり外れたりしている状態のことを指しており、病的脱臼とは関節組織の異常によってずれたり外れたりすることを言います。

徒手整復については外傷性脱臼を扱うことになり、病的脱臼においては徒手整復をしても位置の固定ができないので原因となっている病気の治療を行うことが必要になります。

外傷性脱臼においては、スポーツや交通事故、転倒などによって、関節に過大な力がかかってしまい、正常な位置を保つことが出来なくなってしまいます。

特に肩の関節で脱臼するケースが多く、繰り返し引き起こしてしまう反復性脱臼になってしまうこともあります。

骨折や脱臼に対する徒手整復の方法

徒手整復においては手術などによって切開することはせずに、施術者の徒手のみで整復させていきます。

骨折においても脱臼においても、何も考えずに整復してしまうと、障害など後遺症を引き起こしてしまうことがあります。
そのため筋肉の緊張を緩和させ、筋肉や靭帯などの状態なども注意しながらもとに戻していきます。

そのため徒手整復に対する経験やスキルを持ち合わせておく必要があります。

また徒手整復後には、患部を一定期間動かさないように固定して、再発してしまうことや変形して骨癒合してしまうことを防ぎます。

・骨折した部位の徒手整復
骨折した部位の徒手整復は、かなり痛みを伴う施術になります。
そのため徒手整復を行う中で牽引による整復が行われることもあります。

牽引による整復とは、ずれている骨を引っ張ることによって元通りに整復する方法のことを指します。

骨には靭帯や腱、筋肉が付いていて人の動きをサポートしていますが、骨折することによって周辺の靭帯などによって引っ張られてずれてしまうことがあります。

そのような場合には、そのまま徒手整復を行っても、元通りの場所に整復させることができません。

正しい位置に戻すためには、その処置として持続的に牽引し、牽引した状態で整復させていきます。

中には牽引しただけで、筋肉や靭帯に引っ張られて、元通りに整復することもあります。

脱臼した部位の徒手整復

脱臼に対する徒手整復で多いものは肩関節脱臼になり、脱臼の部位の中では半数以上を占めています。

徒手のみで整復させる場合においては、レントゲンを使うことなく、視診によって状態をしっかりと観察することになります。

問診によって痛みの状態を確認し、痛みが生じることになった経緯などを確認します。また同時に触診によって、患部そのものの状態や症状を引き起こしている箇所を特定することになります。

状態を確認すれば徒手整復を行いますが、骨の状態だけではなく、筋肉や靭帯、神経、血管などの状態も確認して施術を進めていきます。

障害が残らないように牽引しながら整復していきます。

骨折や脱臼に多い部位と整復の方法

鎖骨骨折

鎖骨骨折は骨折の中でもとても多い部位となっていて、スポーツや交通事故、転倒によって生じてしまいます。

肩や腕に強い衝撃があると骨折してしまい、中には粉砕していたり、大きく骨がずれていることも珍しいことではありません。それでも徒手によって整復させることは可能です。

整復後にテーピングなどによって固定しておくことで、骨癒合させることができます。

肩関節脱臼

脱臼に多い部位の一つとして、肩関節脱臼を挙げることができます。それは肩関節の作りによるもので、自由に大きく動かせるために上腕骨頭と関節窩の接触が浅く、不安定な特徴を持っているのです。

肩関節脱臼の中でも多いのが前方脱臼であり、前方にずれてだらーんとしている状態ですから、できるだけ早く整復させる必要があります。

ただし整復後も脱臼グセを引き起こすことが多くなるために、筋肉を強化するなどして脱臼しない強い肩にしていくことが大事です。

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