足の手技

鵞足炎(がそくえん)とは? 治療方法やストレッチ・テーピング方法につい て

鵞足炎(がそくえん)とは

鵞足とは脛骨の内側を位置しており、その周辺にある「縫工筋」「薄筋」「半腱様筋」「半膜様筋」の4つの筋が鵞鳥(ガチョウ)の足のように見えることからそのように呼ばれています。

鵞足炎とは、鵞足にある滑液包かつえきほう)が炎症を引き起こすことによって生じる痛みであり、特にスポーツをしている方に多い症状となっています。
そのため鵞足炎のことを「滑液包炎」と呼ばれることもあります。

滑液包とは

滑液包とは膝関節などの周囲に存在する小さな袋のことで、その袋の中には少量の滑液が含まれています。
膝関節の動きを滑らかにする役割を担っており、皮膚や筋肉、腱、靭帯と骨がこすれている部分の衝撃を吸収し、すり減ってしまうことを予防しています。

しかしこの滑液包に何らかの原因によって炎症を生じさせてしまうと、周囲に痛みが生じるようになり、腫れるようなこともみられることがあります。

鵞足炎を引き起こすメカニズム

鵞足炎は、鵞足にある滑液包が炎症を起こしているもので、急性のものだけではなく慢性になってしまうこともあります。

原因がはっきりしないことが多いのですが、鵞足への負担となる膝の屈曲や内旋がきっかけになると言われており、スポーツ中に引き起こすことが多くみられています。

特に、急激に運動を行ったり、十分なストレッチをせずにスポーツに取り組んだり、不適切なトレーニングをしているような、膝関節を酷使しているような場合に引き起こしてしまうことがあります。
また外傷によって引き起こすことも多くみられています。

鵞足炎の症状

鵞足炎においては、鵞足と呼ばれる膝内側の下方に痛みがみられることが特徴で、腫れてきたり触ると痛みが生じることもあります。
そのため、歩いたり走ったり階段を登ったり、といった動作時において痛みを感じるようになります。

症状が悪化してくると、動作時だけではなく、睡眠時など物理ってきな負担がかかっていない安静時においても痛みが生じて、眠れなくなってしまうようなこともあります。

このような痛みのことを自発痛と呼ぶことがありますが、特に鵞足炎の場合においては、滑液包の炎症が悪化することによって自発痛を引き起こすことがあるのです。
炎症が起きている際には、毛細血管を拡張させてしまい、周辺部位の神経においても過敏な状態となっています。
そのため安静にしているようなときにでも、痛みが発するようになってしまうのです。

鵞足炎の治療について

鵞足炎の一般的な治療方法は、まず安静にしてアイシング(1日3回20分程度の保冷)が基本となっており、初期の場合であればこれだけで治まることも少なくありません。

特に運動後には鵞足炎を引き起こしやすくなりますので、運動前には準備体操を、運動後にはストレッチによって筋肉の柔軟性を維持することが大切です。
安静にしていても改善が見られない場合においては、鎮痛剤による薬剤治療理学療法による運動療法筋膜リリースなどに取り組むことがあります。

さらに痛みが強い場合には、血液法に対してステロイド注射を行う場合もあります。
また同時に再発を防ぐために、同じ動き、同じ運動量になりがちな方の場合には、ストレッチなどに取り組んでいくことが有効になります。

鵞足炎に効果的なストレッチ

鵞足炎では、運動などによって筋肉が硬くなってしまうことが原因となっていることから、ストレッチによって緊張を軽減させることが有効であると考えられています。

ストレッチの部位については、太ももの内転筋群を形成する薄筋はっきん)、太ももを構成している半膜様筋はんまくようきん)の緊張を取りほぐすことが効果的です。

薄筋は、マットなどにあぐらをかいて座った状態でストレッチしたい足を横に伸ばし、ストレッチしたい足の反対方向に体をひねることによって、太ももの内側を効果的にストレッチすることが可能です。

半膜様筋のストレッチは、膝の高さの椅子に床と垂直に座り、ストレッチしたい足を前に伸ばし体を少しずつ前傾させていくことによって、効果的にストレッチさせることができます。

ただし痛みが強い場合にストレッチを過度に行ってしまうと、炎症をさらに悪化させてしまう可能性があります。
そのためストレッチの内容については適度に抑えるようにし、安静とアイシングに取り組むようにすることが大切です。

鵞足炎に効果的なテーピング方法

鵞足炎の治療法の一つとして、テーピングによるサポートが効果的であると考えられています。
痛みが生じる部位に対してテーピングを施すことによって、鵞足部の負担を軽減させることが可能となります。

膝を軽く曲げた状態で、膝下の脛の部分から膝の内側を通って太ももの外側まで、少し引っ張りながら1本目を貼っていきます。
2本目は、膝下の内側あたりから膝の外側を通って太ももの内側まで、少し引っ張りながら貼っていくようにします。
3本目は、1本目のテープのやや上側に重ね、膝の内側から太ももの内側へまっすぐ貼っていきます。

テーピングは伸縮性のあるものを用いることによって、より筋肉に負担をかけることなく安静に保つことができるようになります。

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