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『操体法』の基本的な考え方~その理論ややり方について

操体法とは、仙台の医師である橋本敬三氏が西洋医学の限界を感じて、鍼灸や指圧などをベースにして考案した健康療法です。
体操と同じようなものとイメージされることが多いですが、まったく違う特徴を持っています。
体操のように画一的に身体を動かすという概念がなく、個人個人の身体に応じた動かし方をする点において大きく異なります。

腰や首、肩などに痛みやコリなど身体に不調が生じた場合には、それら不調の部分を意識しながら、痛くない方向、気持ちいいと感じられる方向に動かしていきます。
その繰り返しによって身体の自然治癒力を引き出し、痛みやコリを治療していこうというものです。

ここでは『操体法』について詳しく取り上げ、基本的なことから理論、やり方までしっかりと情報をお伝えしていきます。

操体法の基本的な考え方

操体法とは、痛みやコリなどの不快な感覚や心地いい・気持ちいいと感じる個々の内部感覚を大事にして、自然治癒力を高めていく健康療法です。
一般的な治療法や施術は、病や痛み、コリなどの症状を治していくという観点を持っていますが、操体法においては『元通りの身体に戻していく』という考え方を持っています。

考案者の橋本敬三氏は、本来、体は動くようにつくられているもので、痛みやコリなど不快を感じる動きと反対の、心地よいと感じる方向に動かすことで病気は治ると伝えています。
気持ちよく動く方向に身体を動かしてやることによって、不快な部分の緊張まで解きほぐすことができ、身体全体の調整に繋がり、自律神経の働きにまで良い影響を与えます。
また健康法として伝えられているだけではなく、生き方そのもの、哲学的なものまで考えの中に含まれています。

例えば生きにくければ、生きやすい方向に逃げることもひとつ。
苦しみに耐えながら生活するのではなく、心地よいと感じながら生活できる工夫が必要だとしています。

操体法の理論

橋本敬三氏はこの点において西洋医学の限界を感じ、自らからあんまや鍼灸を学び考案したものです。
個々に感じる「快・不快」に焦点を定めて自然治癒力を高めていこうとするものです。
現代医学においては、客観的に病を確認することによって、治療に取り組むことになります。

逆に言いますと、どれだけ不快に感じている症状があるとしても、検査で異常がなければ治療は行われません。
操体法においては痛みやコリなど「不快」に感じる要因は、身体のバランスだけではなく、食事・呼吸・運動・精神・環境といった幅広いバランスの崩れだと考えます。
これらのバランスが崩れることによって、腰や首、肩などに痛みやコリが生じ、身体機能が低下し、内臓などに悪影響を与えます。

身体のバランスを整えるためには、「心地よい」と感じる方向に動かすことが強調されています。
この快感覚が、身体のバランスを整える動きに通じるものであるからです。
そこには体操のように統一された動きはなく、実際に動いてみる中で快不快を探っていきながら、身体の歪みを認識していきます。
「治す」という感覚はまったくなく、快感覚を繰り返すことによって、自然治癒力を高めることができ、知らぬ間に痛みやコリがなくなることを目指していることが理解できるでしょう。

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操体法のやり方

操体法のやり方はとても単純化されており、誰にでもできる動きになっていることが特徴です。
身体を動かしながら快不快を探り、気持ちよく動かせる方向にゆっくり息を吐きながら動かしていきます。
最も気持ちいいと感じるポイントで息を吸い、気持ちよさをしっかりと感じるようにします。
そして息を吐きながら、身体を一気に脱力させます。

身体の動かし方についてはいくつかに体系化されており、関節を中心に左右に倒したり、左右に回転させたり、伸縮させたりしていきます。
個々によって動かし方や角度が異なり、さまざまな動かし方を組み合わせていけば、そのやり方は無限に存在すると考えられます。
しかも痛みにアプローチするのではなく、快感覚を意識するものですから、悪化するようなことがないのが特徴です。
痛みやコリを感じている箇所を意識し、そこを押しながら、その痛みやコリを感じる反対の快方向に動かすようなことも行われます。

この繰り返しによって身体のバランスを整えることができます。
身体の歪みを整えることによって、自律神経や内臓、血管などの働きが活発となり、不調の改善に繋がると考えられています。

現代社会に欠かすことができない『操体法』

操体法についての基本的な考え方から理論、やり方まで情報をお伝えしました。

西洋医学では病でなければ治療を行うことができず、また鍼灸などの東洋医学においても一般的に一人で行うことは難しいと言えます。
操体法は東洋医学がベースにあるものの、一人でも二人でも、誰にでも実践することができる健康法です。

心の歪みから姿勢の歪みが生じ、身体の歪みに発展します。
つまり身体の歪みそのものは、心の歪みでもあるととらえ、操体法によって心の状態までも元通りに導いていきます。

このように操体法は哲学的要素も兼ね備えています。
複雑な現代社会において操体法は、身体バランスの調整だけではなく、さまざまな分野に応用されていくと言えるでしょう。

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